30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい 豊田悠
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一目惚れした相手・関から「ポチ」と名づけられ、ペットごっこをさせられ続ける主人公。しかし、ポチを虐げて楽しんでいるかのようにみえた関の心の中には、深い孤独と焦燥感が渦巻いていた……。自分も他人も傷つけながらしか生きられないピュアな少年たちの姿を描いた表題作のほか、「万事快調」「嫌」「セルロイドパラダイス」「かみのけ。」の短編4作品も収録。作中でさりげなく文豪たちの名文を引用し、独特な文学性の高い世界観を織りなす小野塚ワールドをご堪能あれ!
想っているのに伝わらない、寂しさや悲しみの表現方法がわからない、だからすれ違ったり傷つけ合ったりするのは恋愛漫画でよく見かけます。
まわりくどいなんて感じてしまうこともありますが、そのまわりくどさを執拗に描いた作品は魅力的だと思いました。
愛してほしい、必要としてほしい。孤独な心を暴力とセックスで塗り潰そうとする青年たちが、美しく生々しく描かれています。
暴力、監禁、愛のないセックス……美しい青年たちに見惚れるどころか目を逸らしたくなる場面ばかりです。こんなふうにしか生きられない彼らの悲しみが浮かび上がってくるから、余計に生々しくて胸が苦しくなります。
ひたすら綺麗で平和で幸せな物語も素敵だけど、傷つけあってボロボロになって少しだけ光が射すような物語だって素敵だと思います。
わかりやすいハッピーエンドじゃないのが好きだな、と思いました。
『万事快調』のピアッシング描写が最高です。