億万長者のメランコリー
ある寒い晩、家路をいそぐ会社員・日路美は紙袋につまずいて転んでしまう。文句を言いながら、袋の中身を見てびっくり!! 正真正銘の札束が、ぎっしり詰まっていた!! あわてて交番へ駆け込み、総額は1億円と聞かされて2度びっくり!! さらに期間内に持ち主が現れなければ、全額もらえると説明され夢見心地に……。しかし、噂が次々に人を呼んで大騒ぎになっていく。欲や見栄に惑わされず、幸せまでたどりつけるのか? 表題作を始め、恋とお金にまつわるストーリー4本が1冊に!
おんな三代物語
母親が、突然の交通事故!? 夢破れて都会でアルバイトをしていた藤巻留奈は、大急ぎで病院に駆けつけた。命に別状はなかったものの、どうも実家はトラブルの種を抱えているらしいと気づく。留奈の家は小さな旅館「竹林亭」を経営しているのだが、その敷地を狙い大手リゾートホテルが動き始めたのだ。地元の有力者や不動産屋も強引に立ち退きをせまる。理不尽なことが放っておけない留奈は、いつのまにか旅館のために粉骨砕身して働くことに……。年をとってもいまだに女将として貫禄を失わない祖母・富美や、家計を切り盛りする母親の十和子、そして超一流の料理人である玄さんが留奈の心強い味方だ。だが、時代の波にあらがうのは容易なことではない。相次ぐ厄介なトラブルに、「竹林亭」は耐え切れるのか!? 魅力的なキャラクターが次々に登場する、傑作旅館コメディー!
男はいつもロマンチック女はいつもドラマチック
結婚相談所でバリバリ働いていても、自分の結婚のほうはちょっと考え中。そんな日常を送る羽鳥亜津紀にも、意中の人がいないわけではない。知り合って5年になる槇野一太郎は、エリート・サラリーマンを辞めてログハウス作りの専門家になった男だ。仕事にやりがいを感じているらしく、亜津紀と会ってもどこか素っ気ない。勿論、将来について話し合ったこともない。このままお互いに、なんとなく年齢を重ねるだけなのだろうか? 長いあいだ停滞していた2人の関係は、しかし嵐の夜に大きく動きはじめるのだった。巻頭におさめられた短編「男はいつもロマンチック」は、心の機微を描くラブストーリー。以降には、ひょんなことから恋愛の行く末を予知できるようになった女性・星川ありすの物語「アリスの部屋」他を収録。全部で6つの短編がお楽しみいただけます。
すぷりんぐ・セール
電機会社でデスクワークをしている寿々子(すずこ)は、怒りと悲しみで頭が一杯だった。心から愛し合っていると思っていた相手が、あっさりと別の女の子と結婚するという。しかも、結婚しても寿々子との関係は続けたいと言い出した。こんなつまらない、身勝手な男に運命を感じていたのか。自暴自棄になった寿々子は、思い出のバーに飛び込み、隣に座った男に一夜限りの関係をもちかけてしまう。いまの自分は「スプリングセール中」だから、という投げやりな台詞とともに。だが、男は意外な態度でそれに答えるのだった。表題作は失恋からはじまる劇的なロマンス。<その他の収録短編>青子は勤続7年で仕事一筋、後輩の求愛にも応じない。だがある日転機が……「青子さんがキャリアウーマンになったわけ」)。姿を消した飼い猫の代わりにやって来たのは、ユーモラスな美男子だった!?(「キャット・ボーイ」)。
ティファニーで約束を
ニューヨークでひとり、新しい生活をはじめることにした万里恵。同じアパートに住む日本人・石谷と次第に打ちとけてゆく。だが、画家を自称する彼の部屋には白いキャンバスばかり。石谷は創作ではなく、人妻と関係を持つことで収入を得ていた。いっぽう、万里恵も夫と別れて目標を失ったまま。屈折した想いをいだく2人は、寄り添いつつ前へ進んで行くが……。表題作は摩天楼のもとで繰り広げられるラブストーリー。《その他、収録作のあらすじ》人気番組のニュースキャスター・楳子(うめこ)。仕事に意欲的だが、ひとつ心配事があった。それは、ひとり娘・優のこと。もうじき5歳になる彼女には、父親がいない。いや、正確にはいるのだが、彼の世話になるつもりはさらさらない! 意地っぱりなキャリアウーマンは、やがて重大な選択を迫られることに…(『さよならのあとに』)。大人の女性を主役にした4編を収録!
私がすてた男
「自分勝手で思いやりに欠けたサイテーな男」。紀史子が別れた夫の進也に下す評価は、5年が経った今でも容赦がない。友人からは未練があるのではないか、と勘繰られるものの、自分ではキレイさっぱり清算したつもりでいる。ところが、酒席で前触れなく本人に再会するや、それまでの冷静さを失ってしまうのだった。相手は憎たらしいくらいに落ち着き払い、一緒に飲みましょうと提案する余裕っぷり! 紀史子は困惑しつつ帰ろうとするが、進也は帰路を共にし、いまも変わらず愛していると打ち明けてきた。今さら何を言おうとも、失った時間は戻らないのに! 向かい合った2人は、ふたたび歩み寄ることができるのか? 進也は紀史子の言動から、離婚したほんとうの理由に思い当たるのだが……。表題作は時間の壁を乗り越える、力強いラブストーリー。この他も陰影豊かな大人の女性の恋の話、全6編を収録!
ズームインage25
ばらばらの外見と性格、だけど不思議に気が合う翠たち4人組の共通点は、女であることと、25歳であること。人生の岐路に立たされていると感じる者もいれば、いたってマイペースに日々を過ごす者もいる。ニュースキャスター・翠は日々の仕事に精を出す一方、同僚との微妙な関係が気になる。彼は良妻賢母を絵に描いたような、ごく家庭的な女性が理想らしい。となると、仮に結婚しても仕事を辞めるつもりのない自分は、花嫁候補にすらなれないのだろうか? 恋人でもないのに、やるせない思いに捉われた翠は……(Part1)。実力は十分だがプロというわけでもない、そんな半端なジャズシンガーとして気ままに生きている女・まどか。世間のしがらみから解放されているかに見える彼女も、男性のことになると不安定な感情をさらけ出してしまう。やがて転機が訪れて……(Part2)。それぞれの事情と感情を描き分けた全4作品を収録!