Next&NextcomicsFの感想・レビュー3件見えない世界と通じ合う子等トモネン 大庭賢哉あうしぃ@カワイイマンガ電話の向こう、隠したスケッチブック、閉ざした心の隙間……ふと覗き見た相手と通じ合えた時、温かな感慨に包まれる。そんな子供達の少し不思議な、内なる冒険の物語。 ----- この作品集は、児童書の表紙や挿絵の仕事を主にされている大庭賢哉先生の、同人漫画作品をメインに集めた初商業出版集。 見えない私の背後、隠された相手の内面、スケールが違いすぎて目に入らないもの……それらが見えた時の、子供達の心の動き。 笑いあり涙あり、発見の驚きあり。根本的な気づきにハッとさせられる、良質な児童文学そのものである。 絵柄は宮崎駿先生の漫画作品(風の谷のナウシカ等)に近しいテイストの描線で、素朴で自由な楽しさがある。 名和田耕平氏のカバー加工やノンブルのデザインも、本としての所有欲を掻き立てられる。時折手に取り、子供達の世界に触れたい、そんな一冊だ。 ●ぬい氏の日常 ぬいぐるみが、持ち主の見てない所で…… ●トモネン 森で出会った見習い魔女ちゃん。ポテチの味を変えたり、魔女の将来設計を嘆いたり、巨人の遺構が大阪だったり……不思議世界を俗世が脱臼させる、クスリと笑えるお話達。 ●リサとガス 喧嘩中の二人が、電話越しの不思議なシンクロで仲直り。 ●帰り道と100円玉 拾った100円が喋った!他のお金も喋るんだって。 ●Go Girl 1/引っ越す友達に町の風景をプレゼント。町が私を忘れても、私は忘れない。 2/哲学的な話をし始める娘。母も一人の人間であると気付く、幼年時代の終わり。 ●リーザの左手 読心術を披露する旅芸人の少年と、学校で孤立する少女。人を見下す互いの傲慢さに気付いた時……。 ●よーこちゃん。 クールキャラのよーこちゃんは、藤井君に恥ずかしい所を見られる。自分の絵を人に見せずに来たが、隠す方が恥ずかしいかも……。 この作品だけ、絵のタッチが少し違う。現在の大庭賢哉先生はこちらの感じだ。近未来SF仕立てな哲学的作品説得ゲーム 戸田誠二マウナケア近未来SF仕立てで、森博嗣や瀬名秀明の小説などと同じ理系の雰囲気を漂わせた短編集。なのですが、作品全体として投げかけているのはむしろ”哲学”な印象を受けました。生きること、もしくは生きていくこと、というか。それが、脳を入れ替える手術や男性の出産、そして表題となっている自殺志願者を思いとどまらせるゲームなど、奇抜なアイデアの中でうまく主張されているのです。このテーマを一番感じたのは、「キオリ」という作品。自殺をはかった女性。だがその脳は無事。研究員たちは実験のためその脳を人工的に培養し、意思の疎通をはかる…。研究員の生い立ちと、女性の人生観を照らし合わせながら淡々と進むストーリー。それでも生きていく、ではどう生きるのか、と考えさせられ、ラストの漠然とした語りが切なさを倍増してくれます。他の作品でも、形は違えど同様な試みがなされているのでそれぞれの味わいを感じてみてください。あ、「タイムマシン」だけは違うかな? でも自分もタイムマシンがあったらこれはやってしまうかも。主人公がすべて女性の短編集WOMAN 戸田誠二starstarstar_borderstar_borderstar_borderかしこ戸田誠二らしくちょっと変わったシュチュエーションもある。 男性作家が描く女性の人生と心の機微が新鮮だった。 田舎に里帰りしていた女性が新幹線で東京に帰ってくる。車中での独白のモノローグにドキッとした。私こんな風に思ったこと最近ないかもしれない…。 「これは新しいあなたに出会える物語。」は大げさでもない。
電話の向こう、隠したスケッチブック、閉ざした心の隙間……ふと覗き見た相手と通じ合えた時、温かな感慨に包まれる。そんな子供達の少し不思議な、内なる冒険の物語。 ----- この作品集は、児童書の表紙や挿絵の仕事を主にされている大庭賢哉先生の、同人漫画作品をメインに集めた初商業出版集。 見えない私の背後、隠された相手の内面、スケールが違いすぎて目に入らないもの……それらが見えた時の、子供達の心の動き。 笑いあり涙あり、発見の驚きあり。根本的な気づきにハッとさせられる、良質な児童文学そのものである。 絵柄は宮崎駿先生の漫画作品(風の谷のナウシカ等)に近しいテイストの描線で、素朴で自由な楽しさがある。 名和田耕平氏のカバー加工やノンブルのデザインも、本としての所有欲を掻き立てられる。時折手に取り、子供達の世界に触れたい、そんな一冊だ。 ●ぬい氏の日常 ぬいぐるみが、持ち主の見てない所で…… ●トモネン 森で出会った見習い魔女ちゃん。ポテチの味を変えたり、魔女の将来設計を嘆いたり、巨人の遺構が大阪だったり……不思議世界を俗世が脱臼させる、クスリと笑えるお話達。 ●リサとガス 喧嘩中の二人が、電話越しの不思議なシンクロで仲直り。 ●帰り道と100円玉 拾った100円が喋った!他のお金も喋るんだって。 ●Go Girl 1/引っ越す友達に町の風景をプレゼント。町が私を忘れても、私は忘れない。 2/哲学的な話をし始める娘。母も一人の人間であると気付く、幼年時代の終わり。 ●リーザの左手 読心術を披露する旅芸人の少年と、学校で孤立する少女。人を見下す互いの傲慢さに気付いた時……。 ●よーこちゃん。 クールキャラのよーこちゃんは、藤井君に恥ずかしい所を見られる。自分の絵を人に見せずに来たが、隠す方が恥ずかしいかも……。 この作品だけ、絵のタッチが少し違う。現在の大庭賢哉先生はこちらの感じだ。