むすんで、つないで。
年齢チグハグ感、四者四様。 #完結応援
むすんで、つないで。 荒井チェリー
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
(実は2巻を読んだ時点でクチコミを書いていたのですが、出すタイミングを失っているうちに3巻完結だと……すっごい面白いのにな……せっかくなので完結応援として、ラストのネタバレなしのクチコミを、どうぞ。みんな読んで〜) 親友を神隠しで失って六年。高校生になったつなぐは、消えた親友・花ノ子と再開する。帰って来た彼女は消えた当時の、小四の姿のままだった……。 ○●○●○ この作品の面白さは、実年齢と精神年齢、そして歳の差のチグハグ感にあります。 ★主人公・つなぐ→元々ダメ人間だが親友の花ノ子を失ってからしっかりして、今では一目置かれる存在。しかし自己評価は低い。 ★親友・花ノ子→神隠しから生還して見た目も精神年齢も小四のまま。しかししっかり者。 ★花ノ子の妹・白百合→姉と同い年になってしまうがサバサバした性格で花ノ子と妙な関係を築く。「つなぐを」姉と慕っている。 ★花ノ子のクラスメイト・苺→神隠し経験者。ほんの数日の行方不明中に、別の生涯を送ってきたらしい。貫禄がある。 彼女たちはパッと見、高校生一人と小学生三人の集団ですが、複雑な関係。その中では大きな事件はなくても、微細な感情が常に行き交う。フワッと愛らしい見た目の中に、常に緊張感や少しの切なさがある、不思議な味わいと若干シュールな笑いがある作品。
しあわせ鳥見んぐ
バードウォッチングと距離感 #1巻応援
しあわせ鳥見んぐ わらびもちきなこ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
『秋山さんのとりライフ』というマンガを読んでから、鳥撮影が私の趣味に加わりました。↓ここで書いたレンズが大活躍です。 https://manba.co.jp/topics/25011 昨年の秋から今年の春までの間、デカいカメラ片手に近所の公園などををふらついていたのですが、気をつけて見てみると意外と沢山の種類の鳥に出会えます。 『しあわせ鳥見んぐ』は東北地方で見られる様々な鳥が紹介されていますが、関東の私が最近見て覚えた種類も複数登場して、「そうそう、そこカワイイよね〜」と同意しながら楽しめました。 個性に悩む美大生女子は、鳥に詳しい女子大生とその親友、鳥撮影する写真科の女子と共に、鳥見=バードウォッチングに出かける。身近にこんなに鳥がいるんだ!という驚き、愛らしさに心奪われる様子、世界が広がる様子にワクワクする。 そして一番心に残るのは、鳥との距離感の話。私もフィールドで、鳥を脅かさずに様子を見せてもらうのに苦心して結局全然上手くいかなかったのを思い出しました。 鳥を見る時、実は鳥に見られている。 鳥にも隣の人にも、共に在るために配慮する優しい鳥見マンガに、これからも教えを乞いたいと思います。
ぎんしお少々
ままならぬ二人の銀塩生活 #1巻応援
ぎんしお少々 若鶏にこみ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
カメラ趣味には大きく二つの指向がある。一つは最新の機材で厳密な撮影を行う指向、もう一つはゆるさや味わいを求める指向。この作品の指向は、後者。 この作品に登場するのはフィルムカメラ。主人公が別れの間際に姉から貰ったのは、トイカメラと呼ばれる物。トイ=おもちゃだが、撮るのが簡単という訳では無い。普通のカメラに慣れていると戸惑う代物で、失敗も多く……というのは作中の通り。 ままならないこのカメラを託された高校生の妹は、入学の桜の下で美少女と出会う。 性格の明暗はあるものの、二人ともどこか不器用。二人の会話の拙さ、思いが言葉にならない感じは、もどかしいが自分の普段の会話を見ている気がする。 二人は撮る/撮られるの関係性を通じて仲をじんわりと深めていく。この二人にそれぞれの、離れて暮らしている姉を加えた四者の関係は、「離れている」事で色々な事が少しずつ繋がったり、分かったりするのが面白い。 それぞれが心に抱える「ままならなさ」と、フィルムカメラの微妙な間・もどかしさ・味わい・待つ楽しみなどが絡み合い、そのもどかしさがクセになるような、不思議で楽しい読み味だった。
下を向いて歩こう
海辺で宝探し女子高生! #1巻応援
下を向いて歩こう 湖西晶
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
この作品は「ビーチコーミング」という趣味を取り上げています。ビーチコーミングとは、海辺で漂着物を拾ったり、観察したりする趣味のこと。私はこの趣味をマンバ通信の記事で知り、作品に興味を持ちました。 https://manba.co.jp/manba_magazines/11307 そんな趣味を楽しむ女子高生達。 ●ビーチコーミングが好きな旅館の娘・硝子 ●スイスから越してきた碧眼娘・シエル ●硝子の幼馴染で科学部所属・さざれ 今まで一人で浜を探索していた硝子は、シエルにぐいぐい押され、二人をくっつけようとするさざれと三人で海岸に繰り出します。 キラキラした物、不思議な自然の造形が沢山出てきて飽きさせません。地面に視線を這わせて宝を発見するのは、例えば山菜やきのこ、鉱物や化石趣味と似た楽しみでしょうか。 面白い物を見つけて、感じたことを共有し、互いにツッコみ笑い合うのは楽しそう。自ら孤独を選んできた硝子がシエルに明るく迫られながら、人と関わり始める物語は優しく愉快! 恐らく2巻以降、さらに面白くなると思うんですよね。その鍵となるのは、途中参加の ●ちょっと怖い手芸部のすさみん ずっと海岸で拾うばかりだった三人に、すさみんは「加工」という概念をもたらします。そのショックは、素敵すぎて硝子が涙するほど。1巻でも少し出てきますが、2巻以降、拾った物を「加工」する「物作り漫画」に化けていくのか……という観点でも、注目していきたいと思います。 和歌山・白浜(2巻以降、串本も)ご当地漫画としても、注目!
さかさまロリポップ
サンリオ的カワイイ姉妹を見守る会
さかさまロリポップ 春日沙生
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
表紙と冒頭カラーの、パステルカラーよりももっと淡い色調のふわふわした感触に、暫しボーッとしてしまう。余りに目が慣れていなくて……でもカワイイ! 本編に入っても、丸い目の女の子達、お菓子、花模様にドットのトーン、そして主人公の父母のあしらい……この可愛さ、サンリオ的。 ♡♡♡♡♡ 主人公は有名子供タレントを妹に持つ女子高生。妹が可愛くて可愛くてたまらない彼女は、妹のために色々頑張るが、料理以外はいまいち不器用。 そんな彼女を妹は頼りなくは思うが、それで全然構わないとも思っているし、しっかりした妹はむしろ姉をリードしていく。 ポヤンとした姉を励まし、操縦し、慰め、それでも結局甘えてくっつく時の、損得抜きの信頼感が微笑ましい。 そしてそんな信頼に応えるべく、妹の無茶振りに奮闘する姉の懸命さ。 うーんこの二人、いつまでも眺めていたい……。 直接的な恋愛表現はほぼ無いが、姉妹の日々の触れ合いの中ではちょっとドキッとする場面もある。それでもいやらしさは無く、ただただ深く想い合う姉妹のやり取りが可愛らしく描かれていて、優しい気持ちになる。 その微笑ましさは周囲に伝わってゆく。妹のマネージャーは「キモい」と言われながらも姉妹を愛で、姉の親友は妹のファンだが、騒ぎ立てずに二人を大切に見守る。 マネージャーや姉の親友の言動に「わかる」と同意しながら、一緒になってファンシーでカワイイ仲良し姉妹を見守っていたい!