あらすじ
人工授精の実験材料にされてしまった脱走兵・天下太平(てんか・たいへい)の精子により生まれた子どもは、第三の性をもつミュータントだった! 大量生産された無性人間は商品化され、一獲千金をねらって戦争ショーが企画される! 自分たちの運命に疑問を持つ無性人間たちは、叛乱の準備をはじめるのだが……!? 新人類の誕生をめぐり壮大に展開する人間喜劇の決定版! <手塚治虫漫画全集収録巻数>・MT81『人間ども集まれ!』第1巻収録 ・MT82『人間ども集まれ!』第2巻収録 <初出掲載>・『人間ども集まれ!』1967年1月25日~1968年7月24日 漫画サンデー連載
続きを読む
近年、舞台化されるようにもなった手塚治虫のナンセンスSF。 60年代後半の手塚治虫が、少年マンガから大人向け長編マンガへの転換期を迎えていた頃の作品で、漫画集団の影響もあってか、ところどころ風刺漫画っぽいタッチになっている。 はじめは手塚作品らしからぬ見慣れない絵柄に戸惑うが、読み進めるほどに、醜い人間の欲望を写し出した手塚ワールドに引き込まれる。戦争、テロ、人工授精にクローン人間といった科学の暴走、優性思想に人身売買など、これだけの問題をかき集めて、痛烈に風刺した上で2巻に収まっているのが凄い。 「これがもしリアルな作画だったら」と思うと、恐ろしくなる場面がいくつかあった。ナンセンス絵のおかげで、心に深い傷を負わずに済んだし、エッチシーンも淡白になってしまうのだけど、ナンセンス作品においてそれを言うのはナンセンスなんだろうなぁ。 ※画像は、終始活躍していた精子搾取マシーンの「シボリ機」 コレに男を放り込むと、死ぬまで搾り取られるらしい 内部では一体何が起こっていたのか、最後までわからなかった…