あらすじみえるものをみないふりしたら、それは、罪になりますか――?人の悪意がばけものみたいに見える、ちょっと難しい女の子、それが北里あかり(きたさと・あかり)。誰にも私の気持ちなんて分からない。そうやって心に壁を作っていたけれど、超天然の兄・明人(あきひと)との暮らしや、新しい友人たちとの毎日、そして悪意を食べる化け物・からすと出逢ったことで、あかりの目に映る世界は色を変えてゆき――…。新しいのになつかしい、ギドワールド登場!!
母と折り合えず祖父と暮らしていた女子中学生は、祖父の死後、兄の元に引き取られる。彼女は人の「悪意」が見える。その事で苦しい思いをしてきたが、ある時それ迄の悪意と次元の異なる恐ろしいモノと、出会ってしまう。 ■■■■■ 彼女に見える「悪意」の描き方が恐ろしい。人を飲み込む闇や、覆い隠す煤といった表現で、まるでタチの悪い怪異の様な緊張感を演出する。 しかし「悪意」は、怪異の様に固定した存在ではない。怒っている人も優しくされれば悪意は消える。犯罪者でも悪意の無い者もいるし、善良な人が悪意を増減させることもある。揺れ動く「悪意」の描かれ方は、リアルに感じられる。 悪意を食べて回る「恐ろしいモノ」に対抗して、人の悪意を減らそうと働きかける女子中学生。その在り方は、私達が「悪意」とどう付き合っていけばいいのか、「悪意」に飲み込まれない為にはどうすればいいのかを考えさせる。 感情の御し方について、何か掴めそうな気がする、本質的な物語だと感じた。