東京から船で9時間かかる島のキャンプ場で働く赤碕は、中年男性と宿泊しにきた10代の青年・峰島と出会う。特に言葉を交わすこともなかったが、二人のことが妙に印象に残っていた赤碕は、翌年、今度は一人で来ていた峰島に思わず声をかけた。何かと世話を焼いてくれる赤碕に心を許した峰島は、最近失恋したこと、一人になりたくてここに来たことを打ち明ける。話を聞きながら赤碕は、島に来る前の自分を思い出していた。都会で暮らしていた日々、深く傷ついた過去のこと。そして滞在期間中に訪れた台風が、二人の間にも嵐を呼び込むことになって…。星が降りそそぐ宙の下で、新たに漕ぎだす船の行方は――。