「閉まらずの扉の噂、知ってる――?」女子大生の有美子には、悪い癖があった。「『彼』モテるから心配で…雑誌の撮影で他の読モとも絡んだりしてるし…」――『彼』って男友達のことだけどね。嘘はついていないもん、みんなが勝手に勘違いをするだけ。そう、私は悪くない。――そんな有美子が入部した映画研究会の部室には、いわくつきの一部屋があった。虚栄心から生まれた虚構がいつしか彼女を覆いつくす。人間の闇を描くサスペンスホラー!
「1人にしないで…」サークルの先輩・柴谷に縋り付き、見えない何かに怯えている有美子―――きしんだ扉の音は人の声に似ているし、心細いのも“本当”。だから私を見て? 彼女じゃなくて、私を――…。
欲しかった柴谷を彼女から奪うも、次々と起こる不思議な現象に疲弊する有美子。ある日、サークルで企画された肝試しの配信に出てほしいと頼まれた有美子は、いつもの調子で引き受けたが…?