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悪の組織の戦闘員として働いて6年間、ずっと下っ端で上の命令に従い悪事を働いてきたクズ野郎、それが俺だ。色々考えないようにしてた。現実なんて見ないに限る。でもあの日、親しい同僚が現場から生還しなかった事で、現実を見ざるを得なくなって、なんか……心が折れた。現実っていうのは思ったよりガツンとくるもんなんだな。……その衝撃が、俺の背中を押したんだと思う。そうでもなきゃ、あんな無愛想な女が配ってた手描きの『ヒーロー募集』のビラになんて食いついたりしてねえ。かくして、俺の『兼業ヒーロー』生活が始まったわけだが、その生活もくそったれなもんでさ……。
悪の組織という名の超ブラック企業に勤めて早6年。限界を感じた俺・青井正義は『カラーズ』というヒーロー事務所のヒーローを兼業することにした。しかし、このヒーロー事務所の社長がまたとんでもなく横暴な奴で、武装した怪人と生身で戦わせようとするわ、契約書を盾に脅してくるわ、終いには「給料はいらないわよね？」とか、ふざけたこと言ってきやがってヒーロー業も前途多難過ぎ。まあ、かといって悪の組織の方が順調なわけもなく。少し前から噂になっていた組織の裏切り者が現れたんだが、こいつが人殺しも厭わないような、とんでもない奴でさ……。
