あらすじ

世界中を巻き込んだ戦争から数年。大国の利害関係に翻弄された、北方の小国はいまだ戦争に国土と国民が傷ついていた。懸命に復興を目指す国家において、取り残される人々がいた。国家の為に働くことのできない病人やけが人たちは社会から疎外されるしかなかった。体を動かせない重病人やけが人が最終的に集められるお屋敷で働き始めることになった猫耳少女・エレナ。エレナを待ち受けるのは命の価値が揺らぐ厳しい現実。それでも生きることの尊さと生命の可能性を信じるエレナの想いの熱は、いずれ周りの人々に、そして国中に伝わり大きなものになる。深い闇のように先の見えない現実における大きな灯となり、やがて国家の福祉を変える少女の物語。
エレナの炬火 1

世界中を巻き込んだ戦争から数年。大国の利害関係に翻弄された、北方の小国はいまだ戦争に国土と国民が傷ついていた。懸命に復興を目指す国家において、取り残される人々がいた。国家の為に働くことのできない病人やけが人たちは社会から疎外されるしかなかった。体を動かせない重病人やけが人が最終的に集められるお屋敷で働き始めることになった猫耳少女・エレナ。エレナを待ち受けるのは命の価値が揺らぐ厳しい現実。それでも生きることの尊さと生命の可能性を信じるエレナの想いの熱は、いずれ周りの人々に、そして国中に伝わり大きなものになる。深い闇のように先の見えない現実における大きな灯となり、やがて国家の福祉を変える少女の物語。

エレナの炬火 2

世界中を巻き込んだ戦争から数年。大国の利害関係に翻弄された、北方の小国はいまだ戦争に国土と国民が傷ついていた。懸命に復興を目指す国家において、取り残される人々がいた。国家の為に働くことのできない病人やけが人たちは社会から疎外されるしかなかった。第2巻では紫蘭館で働くエレナの仲間たち、そしてそこを取り巻く社会情勢が描かれる。誰よりも優しい心と秘めた特殊能力を持つサナ、普段は庭師として働きながら実は紫蘭館を守る戦士であるヴィーリ、紫蘭館で育つ孤児の双子スオラとソケリ。彼らはエレナに影響され、前向きに、懸命に歩んでいく。しかし社会動乱をこころむ隣国の魔の手がノルド共和国に迫る。暗躍する『鬼火』と呼ばれる男が物語に影を落とすこととなる。それでも生をあきらめず、世のなかのためにあろうとする少女エレナはいずれ国家の福祉を変える偉人となる。

エレナの炬火

戦火の下、命の真価に向き合う物語 #1巻応援

エレナの炬火 小板玲音
兎来栄寿
兎来栄寿

″こんな深い暗闇のなかでなら、 こんなにも美しく 輝き燃える命が見えなくなるというのか。 消えることなく、人の生を照らす導きの光。 『青騎士』第8B号で『エレナの炬火』が連載を開始したときの扉絵のアオリ文です。雑誌掲載時しか読めないアオリ文ですが作品によっては非常に印象的で心に残り、単行本では見られないのが勿体ないとすら感じさせてくれるものもあります。この『エレナの炬火』のアオリ文、特に1話と4話のものは、絵・物語内容とあいまって強く心に響いて残るものでした。 かわいらしい表紙絵だけ見れば「ケモミミメイドの日常コメディかな?」とすら思ってしまうかもしれませんが、 ″慈しみを持って生きなさい。 祈りとともに歩みなさい。″ という帯コメントが示唆する通り内容は重厚で骨太です。れおはりうさん改め小板玲音さんが新たに紡ぎ出す世界は、極めて難しいテーマへと挑んでいます。 まず、1話を読んでもらえればこの作品に宿る大いなる価値は十分に感じてもらえることでしょう。しかしながら、1冊を読み通すことで1話で感じたものに類するものだけに留まらない本作の多様な側面を堪能できるはずです。 戦争だけでもなく、平和だけでもなく。この1冊の中に宿る多様性は、ある種まさに現実世界に存在する多様性と相似しています。昨日と同じような今日が続いていく保証なんてどこにもなく、力学が傾くきっかけはどこにでも転がっている。今日もウクライナやその他紛争地域で命が潰えているその一方で、平和を謳歌し文化的な活動に勤しむ人や、無為な行為に溺れる人もいる。そんな世界の複雑さが立体化され、描かれていきます。 ときに優しく、ときに毅然と自らの使命に邁進するエレナの姿は、後々民衆を導く大きな炬火となっていくであろう気高さを感じさせます。高潔なる戦いの中で、彼女はどのような成長を見せてくれるのか。どのような選択を採っていくのか。そこにある「祈り」を強く感じ、心を揺さぶられながら目が離せません。 今年単行本が発売される作品の中でも個人的TOP10に入ってくるかもしれないくらい大好きな作品です。 最後に、4話の魂がこもった秀逸なアオリ文を引用して紹介を締めます。 ″家族や街を、身近なものを守るために、鉛の弾丸をこめる。 輝く勲章もなければ、武勲の栄光もなく、銃口を向ける。 故郷に残した生活と来るべき平和を想い、引き金をひく。 殺した敵兵と、その愛する人のために祈りをささげる。″