あらすじ
『今日』を何度も繰り返す世界で、選ばれなかった一日があることを「わたし」だけが憶えている。そして、繰り返す『今日』は気まぐれで、『今日』が終わったらリセットされて、明日また来る『今日』が、同じ一日になることは殆どない。そんな呪いを受けた相沢綾香の前に現れたのは、「相沢綾香さんっていうんだ。私、稲葉未散。よろしくね」そう言って次の日の『今日』も繋がりを作ってくれる稲葉未散。繰り返す『今日』の中で生まれて初めての友達という関係と、少しづつ縮まっていく距離に戸惑いつつも、静かに変化していく「わたし」の気持ち…。恋も友情も知らなかった、そんな「わたし」と「彼女」の不器用な想いにまつわる、すこしフシギな物語。第12回GA文庫大賞金賞受賞の話題作が遂にコミカライズ!! ※こちらの商品には、巻末にデジタル版限定特典イラストが収録されています。※
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タイムループというものが、こんなにも切ないという事に驚かされる。 主人公だけが同じ日を何度も繰り返す。取り残される悲しみは絶望的だ。以前の記憶がある事が意外にも、彼女を孤立させる。とことん孤独な彼女の心の奥にはいつも、凍りついた痛みが見える。 そんな主人公のうんざりする日常に、安定した友人となる女子が現れる。また親戚の一人は主人公を理解して寄り添っている。この二人によって救われている彼女は、二人にどうしても過剰な想いを拗らせてしまう。静かな画面に響く、ときめく彼女の心音を共有する心地よさ。 物語は残酷だ。タイムループは非現実的な事象だが、彼女の孤独には現実的に共感できる。「将来魔女になる」友人がSFとしても百合としても、想像もつかない高次元の極みで主人公を救う時を期待したい。