名門 音村屋の次代を担う“ミスター千両役者” こと音村左乃介。人気、家柄、実力とも申し分なく十五代目の襲名宣言も間近と誰もが思っていた。そこへ突如として現れた先代寿三郎の隠し子・桐生右近。揺れる襲名問題、大看板を背負うのは、宗家・音村左乃介か、はたまた先代の落とし種・桐生右近か?! 十五代目跡取りを巡り繰り広げられる愛憎劇。付き人・若治の裏切りに動揺を隠せない左乃介。奇しくも「曾根崎心中」の徳兵衛のように信じていたものに次々と裏切られる。すべてを失った左乃介の鬼気迫る芝居にたじろぐ右近と湧き上がる歓声。舞台上で火花を散らす異父兄弟、勝負の行く末は如何に。