殉愛
愛妻家でやり手の営業部長・阿久津は、20歳下の優秀な部下・辻沢に恋をした。いい歳をしてなにを血迷ったか衝動的にキスをしてしまうが、辻沢もまた阿久津に憧憬以上の想いを抱いていた。気持ちが通じ合い、出張のたび幾度となく身体を重ねるが、狂おしく情熱的な愛は留まることを知らず――?表題作他、愛執の果てを描く「メビウスの環」、ひとつの愛の残酷な終焉「一通の手紙~詫び状~」、商業未発表作「もう一通の手紙~チームメイトへ~」を収録したストーリーテラー・綺月陣の原点に迫る幻の作品集!初出「殉愛」1998年 小説イマージュクラブ1月号「メビウスの環」1998年 小説イマージュクラブ7月号※2011年発行、学研もえぎ文庫「殉愛」に2編収録「一通の手紙 ~詫び状~」1997年 小説イマージュクラブ5月号「もう一通の手紙 ~チームメイトへ~」2000年5月 同人誌「アネモネ」収録 ※電子化によりサブタイトルを改題
僕は、ここにいるから
心臓に病気を抱えて産まれた高校生の桜木 櫂。櫂の人生を変えたのは、半年前に受けた心臓移植だった。新しい心臓を得たその日から毎夜、「彼」とセックスする夢を見るようになった。櫂は「彼」の顔を知らないし、会ったこともない。体を暴かれる恥ずかしさは、日を追うごとに膨れあがるが、何故か体の疼きは止まらない。いつしか最初は怖かった「彼」に、特別な感情を抱くようになっていた。そんなある日、病院で倒れそうになった櫂は精悍な顔つきの大学生・市之瀬広司に助けられる。乱暴な仕草に、がっしりした体…。本物の「彼」だった――。
一億二千七百万の愛を捧ぐ
歌舞伎町の寂れたバーで働く元国民的サッカー選手の和久田は、人生を投げ出し、女のヒモとして落ちぶれた生活を送っていた。しかしある晩、バーに人気サッカー選手の槙野が現れる。現役で活躍中の槙野は、憧れていた和久田との再会を心から喜び、チームに復帰してほしいと無邪気な願いを口にする。だが、もうサッカーはやめたと告げる和久田に戸惑い、怒りを覚える槙野。どこまでも堕落した和久田を知れば知るほど、離れることはできなくて……。書き下ろし番外編も収録した完全版!収録内容「一億二千七百万の愛を捧ぐ」番外編「多摩川キッカーズ・初戦」(電子配信時に掲載された作品を改稿)番外編「多摩川キッカーズ・雨天により試合延期」(書き下ろし)
いつもそこには俺がいる
十年来の片思いは、これで終わりだ――。高校時代から続いた腐れ縁でセフレ。そして今も同じ広告代理店に勤務している真崎史彦の結婚披露宴に招待された水澤倫章。婚礼前夜、最後のセックスをしてさよならするはずが、事態は思わぬ方向へ――!? リーマンラブの最高峰、完全復活!!
ろくでなし【イラスト入り】
釈放の日、洋司は口の悪い刑事の志真から妻の訃報を聞く。死に至らしめたのは警察だと告げられて憤った洋司は志真の拳銃を奪い、志真を人質にして留置所から逃亡。凌辱し貶めるために連れてきたはずが、ともに逃亡するうちに洋司は志真への情に気づき始める。しかし志真には長年片想いをしている男がいて――? 一人の男をめぐる手錠で繋がれた逃避行。