日活が死ぬ――!? 昭和46年(1971年)、数々の名作や大スターを生んだ映画製作会社・日活は毎月1億円の赤字をタレ流し、存続の危機に立っていた。 日活に憧れて入社した契約助監督の阿里純(あさと じゅん)も、大監督になる夢を絶たれるピンチに直面。情熱のやり場のなさにくすぶっていた。 起死回生を図って会社が出した方針とは…!?
日活が社運をかけた打ち出した新方針はなんと、成人映画(ポルノ)の製作だった。 学生時代、 憧れの冴子に ポルノを否定された阿里は猛反発するが、小原宏裕や伊地智啓ら助監督たちは映画を撮り続けられることに前向きで…。
清純派がポルノデビューしたら人気沸騰!? うぶな女優・五月由美は、胸が大きいことを理由に日活にポルノ出演を打診されていた。その話を聞いたサユリストの小原はあることを思いつき…。
西村監督が打ち出したポルノの題材はなんと「団地妻」。 一方、『トラ・トラ・トラ!』の現場にも参加していた助監督・村川透はポルノ映画製作に落胆し会社に辞表を出すことを決意する。 それを聞いたアリらは必死に引き止め…。
いよいよロマンポルノ『団地妻 昼下りの情事』が動き始める。 監督の西村が指定した女優はピンク映画にも出ている白川和子。しかし、打ち合わせに現れた白川をみてファンキーは不安にかられる。
『団地妻 昼下りの情事』の撮影が始まった。 撮影陣はこれまでとまったく異なるポルノ映画の現場と女優の演技に圧倒される。 エロすぎるこの映画、果たして上映できるのか――!?
「論外です」 映倫から猛反発を受けてしまう西村監督。 本当に性行為を行っているように見えると指摘を受け、「映画で人を殺しても罪にならないだろ」と独自の理屈で対抗するが…!?
休日、新宿に繰り出したアリは、大学の同窓生だった和江と再会した。 和江に憧れの冴子の行方を聞くが、休学後の動向は不明とのこと。 アリは「団地妻」の自立した主人公と冴子を重ね、思いを馳せるのだった。
ロマンポルノ第一弾となる『団地妻 昼下りの情事』の社内試写会が行われた。 人妻が快楽におぼれていくストーリー、映像の迫力にアリは「傑作」だと確信する。 しかし、社内の反応はまちまちで…。
「団地妻」の試写会の横で撮影が進んでいたのは『女高生レポート 夕子の白い胸』。 しかし、スタッフが誰かを探し回っていた。聞けば主役の片桐夕子が逃げ出してしまったという。 逃げた主演女優はいずこへ!?
監督昇進の最有力候補だった伊地智はプロデューサーへの転向を決め、本社会議に出席する。そこで出された会社の提案は、これまでの日活のスタイルを覆すもので…!?
とうとう訪れた日活ロマンポルノ公開初日。朝一番に映画館に向かったアリが目撃したのは異様な光景だった…!!
新作のロマンポルノ『花芯の誘い』の撮影が始まった。しかし、新人女優はなかなか濡れ場がうまくいかず…。監督・小沼勝が取った行動とは!?
ソリの合わない山口組の助監督にされたアリは渋々現場に入る。しかし、そこに主演女優・田中真理がいるのを見て俄然やる気に。アリに任された最初の仕事は…?
憧れの人・冴子らしき人物を見かけたことで、冴子主演のロマンポルノを夢に見てしまったアリ。 大胆かつあられのない姿に悶絶!!
監督らに言われてアリが訪ねた神宮前のビルには個性派の住人だらけ!! ビルにある事務所を尋ねると、そこで待っていたのはあの大物監督――!?
アリのアパートを舞台にとうとう撮影が始まった! しかし、監督の山口は真理の演技に納得がいかず…!?
『恋の狩人ラブ・ハンター』はクライマックスの海のロケを開始する。 アリは 海を怖がる真理のことを心配するが、逆に山口監督からは叱責を受けてしまう。
ロマンポルノは社会現象となり、ポスターが盗まれる被害が相次いでいた。 一方、日活撮影所には伝説の監督・鈴木清順が訪れていた――!!
脚本を書いている山口の様子をうかがうために湯河原行を命じられたアリ。 その日、地元の友人・ヒロと東京で遭遇したアリは、2人新宿の繁華街に繰り出すのだった。 そこはとても刺激的で…。
湯河原から帰ったアリを待っていたのは大映が倒産という暗いニュースだった。 一方で日活ではロマンポルノの製作が続けられていた。 撮影所でアリはファンキーに切ない時代劇『情炎お七恋唄』の台本を渡され、ひと目で気に入る。
「あれは映画ではなく猥褻」そう決めつけられ、日活作品は警察の摘発によって上映中止を余儀なくされる。 無情にも押収されていくフィルムと閉館する映画館を目の当たりにしたアリは言葉にならない咆哮をあげる。
警察から猥褻物の証拠品としてフィルムを押収された日活。 動揺する一同の前に現れた映画監督の神代辰巳は「引かれ者の小唄で終わっちゃいかんよ」と鼓舞する。
「情炎お七恋唄」の撮影現場に長ナスを持ち帰ったアリ。 主演女優からその用途を尋ねられ「男の代わり」との回答に絶対嫌だと拒まれ…??
順調に進んでいるように見えた「情炎お七恋唄」の撮影だったが、 ファンキーの理想に近づけないお節の演技にリテイクが嵩んでしまい…?
突然現れたアリの兄・和夫。地道に働いて親を安心させろと咎める兄から逃げ出したアリは――!?
ポルノ映画に対し「恥じたりしない」と決意を新たにするアリ。 一方、ポルノから足を洗わせたいと思う兄・和夫がとった行動は――!?
ポルノ映画の立件を進めたい警察の執拗な聴取は摘発された作品のスタッフだけでなく、出演する女優達にまで及び――!?
警察の聴き取りに臨む女優・中川梨絵は、威圧的な尋問をする刑事たちを手玉に取るような態度をとり――。
警察の摘発からひと月、世の関心はあさま山荘事件へと移っていた。 全国民がテレビ画面に釘付けとなる中、ロマン・ポルノの世界も新しい展開を見せ――。