神や物の怪の国「幽世」に佇む美しい大木「御霊神樹」。神樹の護り手である庇護ノ神・世羅(せら)とその遣い・甚雨(じんう)は、ある出来事によって現世に散らばってしまった神樹の種を集める旅をしていた。幼い頃、山岳信仰のある「月花山」で遊んだ記憶を思い返していたあざみは、よく一緒に遊んだ「サトくん」のことを友人に尋ねる。ところが、彼のことはあざみ以外だれも覚えておらず…不思議に思っていると、どこからともなく声が聴こえ―…。記憶の中で結ばれた絆が、あざみにある使命を与える。美しく時に切ない旅奇譚「ハナツムギの歪」山神編(上)!