私と違う世界を見ている、友達。美涼は淡泊な家庭の教育ゆえに感情の起伏が乏しく、友達がいなかった。千鶴もまた【人ならざる世界の住人】を見ることができる力のせいで気味悪がられ、友達と呼べる人はいなかった。二人は友達になり、仲を深め、お互いの住んでいる世界を知ることで親しくなっていくが、やがて踏み込んではいけない領域まで達してしまう。住んでいる世界が次第に二人を引き離そうとする。でも、友達でいたいという思春期のわがまま…… 絶対に相容れない境界線。どこまで踏み込めるのが友達なのか?親しくなることで自問自答を繰り返していく葛藤―― 『妻、小学生になる。』の作者・村田 椰融(むらた やゆう)が新たに描く、女子高生二人の和風友情奇譚、開幕。
千鶴には2人の友達がいる。昔からの友達と、最近できた友達。 しかしその片方、美涼にとっては千鶴は唯一の友達。なぜなら彼女にもう1人は"見えていない"から。 そんな"住む世界の違う2人"が友情を育んでいく物語。 『妻、小学生になる。』の村田椰融さんの新作。同作はネーム大賞という1話のネームだけで審査される賞で入賞し、そこから連載まで至った作品であり、今作も1話が読み切りとしての完成度がすごく高い。 ただ、今作は1話から2話以降への繋ぎを意識して書かれていることが分かる構成で、また1巻を読み終わってからもう1度読み返すと初めて気付くような布石が1話の中にいくつも仕掛けられていて、美涼と千鶴、2人の"物語"を描こうとしていることが感じられる。ここからどのように2人が関係性を深め、そして"境界線"が2人を阻むこととなるのか今から楽しみな作品。 1巻まで読了。