相川渦波は、突如放り出された異世界から元の世界へ帰る為、どんな望みも叶うという迷宮の攻略を開始。強大な魔力ステータスを持つ仲間・ ディア を得たことで、浅い階層の攻略とレベル上げを順調に進めていた。そして、攻略の中でカナミは知らず知らずの間にステータスで強さが決まるこの世界の住人をNPCのように捉え、自分の攻略のために利用していい存在と思い込んでいたが……この剣で“ディア”を――俺を認めさせるんだ。ディアや住人の語る夢や想いに触れ、この世界の人も血の通った人間だと痛感し、罪悪感から混乱に陥ってしまう。謎のスキル【???】で落ち着きを取り戻し、攻略を再開するが、ディアと共に迷宮の『闇』と遭遇――試練に挑むことになる。
妹の待つ元の世界へ戻るという目的を据え、迷宮攻略へとさらに没頭していく相川渦波。それは、この世界の住人をNPCのように扱いつつあった己に対する疑念と罪悪感を振り払うためであった――。しかし、異世界の冒険者たちはより“人”らしく利己的で、何もかも奪い取ろうと襲い掛かってくる。カナミたちは、彼らを一蹴するも、その活躍がさらなる強者を引き寄せてしまう。第二十の試練をうけてもらおう 二十層守護者≪闇の理を盗むもの≫ティーダが現れる。圧倒的な強さを誇るティーダは、戦いの最中カナミに問う。――死ぬ覚悟はしたか? ――生きて帰る覚悟は? 失う覚悟は? 覚悟なき――意志なき力をふるう二人に迷宮の『闇』は、何を求めるのか……。
かつて迷宮で知り合った少女・ラスティアラ―― 失踪した彼女を追う『天上の七騎士(セレスティアル・ナイツ)』のセラに謂れのない疑いで決闘を申し込まれた相川渦波。狼へと姿を変えたセラとの戦いに辛勝するも、当の本人であるラスティアラは飄々とカナミの前に現れ、無邪気な少女のように夢を語る……。私も交ぜてほしいの。貴方の物語に――。戦力を望むカナミは彼女をPTに迎え入れることを決意。マリアと共に三人での冒険がスタートし、結果として探索効率は大幅に上昇することに。しかし、マリアを守りながらの戦いに徐々に余裕を失い、カナミは己が看過していた問題に直面してしまう。浮き彫りになる“素質の差”に彼らは何を想い、選択するのか……。
判で押したようなゲーム様式異世界ではあるものの、存外読みやすく、展開にもわくわくさせられます。原作だけでなく漫画家さんのセンスも素晴らしいのでしょう。類まれなデフォルメのセンスに加え、漫画表現に関しても勉強熱心さが伺えます。引っくるめて言うなら「上手え」w ストーリー面も、ゲーム系異世界の説明不要さに甘えず、また主人公も順応しすぎないのが良いですね。得体の知れない世界の主に命運を握られている薄気味悪さ。SAOやリゼロ、幼女戦記みがあって大変好みです。