人の心を介さない義母。できちゃった婚の息子。出張先で恋に落ちるミドルエイジクライシスの夫。頼れる義父は病に倒れ…。都内の閑静な住宅街にある広いけれど古い屋敷に住む今どきの家族。その生態を嫁いで20年以上経た主婦の視線で描いた傑作。
高校時代のマドンナとの15年ぶりの再会。でも、それは医者と患者として。彼女には重篤な病気の可能性があったのだが…。表題作「遠雷」の他、夫の浮気という夫婦の危機に直面した妻の心理を描いた「山鳩」、介護・リハビリを通じて絆を認識する高齢化社会の夫婦を描いた「夫婦茶碗」、感動の計3作を収録。
愛している、たとえ配偶者がいようとも…。でも、その恋愛で幸せになれるのは誰? 不倫、不貞、「不感症」という言葉のトラウマから立ち直れない女性…etc.。男と女の愛の深層を鋭くえぐる全5作品を収録。
看護学校卒業を間近にしてまだ勤務先が決まってない日野原佑紀。実習でのミスも多く、学友からも看護師の適性を疑問視される。落ち込む佑紀だったが、彼女の取り柄は前向きに諦めずに努力するところ。はたして彼女の進路は…?
結婚して1年半。夫とはすれ違いの毎日だが、編集者として働く以上は甘えてなどいられない…… 抄子は二間瀬という作家の原稿を回収するため、彼の家を訪れる。仕事上の付き合いだと思っていた彼女だったが、この日に境に、認識を改めさせられることになる――― 愛と欲望の本質を鋭く切りぬいた、衝撃の短編集。
無残に砕け散った初恋…。その屈辱と痛みも癒えぬまま、「男嫌い」の鎧をまとい臆病に日々を過ごす乃梨子。ある日、そんな彼女の前に初恋のあの男が現れた―。表題作をはじめ、恋に不器用な女たちを余すところ無く描ききった傑作集。
母親に置き去りにされた幼い娘を預かることにした私。棄てられてもなお母を想い慕う娘だが、少女を待っていたのは悲しくて惨い運命だった――。虐待をテーマに描いた表題作の他、「茨の檻」「罪と罰」の全3作品を収録。
「僕は君の担任だ。なんでも相談にのる」「なんでも? わたしが義理の父から性的暴行を受けてる… と言っても?」彼女を救いたいという新米高校教師の熱い思い。しかし、彼の心の奥で抑えきれない別の感情がふくらんでいった…。
ガラスの動物園は夫と共に育んだ愛の日々の証。毎年妻・菜穂子の誕生日に、夫・達彦はにガラス細工の動物をプレゼントする。ジャズ評論家の達彦に菜穂子の妹の今日子は「姉さんの収入を当てにしてブラブラしてる」と否定的だが、菜穂子は愛する夫と幼い娘に囲まれ幸せいっぱいだった。それなのに… 夫は近所の奥さんと浮気をしていた。ガラスの動物園は地面に落ちて砕けて散った。そんな矢先に菜穂子の母が倒れて…。愛憎のラブサスペンス集。
担当作家に強姦された。作家は和姦だったと主張する。告訴したい! 社会的制裁を与えたい! だけどもあらゆるプライバシーを暴露され、傷口を一層深めてしまうのが強姦裁判。こうして強姦被害者たちは泣き寝入りしていく。それがレイプの実情…。女性編集者・抄子の選んだ結論とは…? 上司と不倫・妊娠中絶を繰り返すOL、不妊の烙印を押された主婦、夫に我が子を取り上げられた夜の蝶、旦那が無精子症の女…。5人の女たちの不遇の「性」事情を描く。