突然「頼む」と託された子供。「わけは帰ってから……」そう言い残し夫は帰らぬ人となった。結婚して3年余り、可もなく不可もない生活だったが、美仁(みさと)にとっては、いごこちの良い日溜りだった。ところがある日、一瞬にしてその日溜りが砕け散る!夫の裏切りと死によって……。女の生き方が共感を呼ぶ、大谷博子のヒューマン・ラブ・ストーリー。
夫を事故で亡くし、娘の毬と二人、肩寄せあって暮らして来た凛子。元気に見えても、本当は心も身体もギリギリみたい。そんな凛子に突然のプロポーズが!!踏み切れない理由を、何故だか他人に見透かされている。――悩みながらも本当の自分の心と向き合ったとき、初めて見えて来た幸せのかたち。
柄沢蓉美、8歳の時に両親が離婚。13年たった今、母と再会したのに、私のことを覚えていないのはなぜ…?強い人間が必ずしも傷つかないなんてことはない。人は二人いたら二つの見方、三人いれば三つの言い分があるはずだから。親と子の絆のあやうさと強さを問う全5話!
ひとりの男の生死に関わった女性達の、愛の決断と生き様を、それぞれの角度から描いた感動作!!ラブストーリーの巨匠・大谷博子の問題意欲作品。
「15歳の少女だった私には母親の中の“女”を理解できなかった」飛び出した故郷、母の死、懐かしい幼なじみの峻彦(たかひこ)。過ぎ去った日々が、芙由紀(ふゆき)に語りかける……。──表題作他、特別読切『想い坂で逢いましょう』収録。
誰もが見えない羽を持つ天使かもしれない。心のドアを開けたあの人がそれに気づかせてくれた。…実力派作家・大谷博子が描く、ヒューマン・ドラマの傑作選!
笙平は、坂崎真琴の異母弟であったが、突然不慮の事故で亡くなってしまう。――彼の家族にではなく、離れて暮らす真琴に保険金を遺して… なぜ? どんな風に? どんないきさつで? 真琴にはわからないことばかり。すべてを確かめるために、彼が生きて来た札幌へ。そこは秋の訪れが早く、枯れ葉舞う北の街。この街で、いったい彼になにがあったの!?