主にヨーロッパを渡り歩いて15年になる職業不定の男、羅生豪介・33歳。ありとあらゆる外国事情に通じているため、仕事には不自由しなかった。今日はパリで、日本のアン・ノン族ツーリスト相手のにわか添乗員。浮かれる女性達の中に、勝手な単独行動で警察に保護された女性・瀬川京子がいた。彼女は自分の婚約者・片岡と、彼を追ってパリに行った友人の恵子を探しているのだと言う。予想通り二人は一緒に暮らしていたが、恵子は画家を志す片岡を、売春婦をして養っていた。パリは、自分を物語の主人公にして悲壮ぶる日本人に満ちている…。全てが秀作!ヨーロッパを股に翔ける男の読み切り短編シリーズ。
アメリカのスキー・メーカー『シグマ』が日本進出のためのイベントとして、賞金総額200万ドルのスキー・トライアル「シグマカップ」を開催すると発表した。日本の各メーカーもこの挑戦を受けずにはいられない。それと平行して、かつて「黒い稲妻」と呼ばれた沢が、蔵王スキー社に接近してきた。超絶的なスキー・テクニックで選抜大会に優勝し、社長の娘・英理をたらしこんでしまう。蔵王に雇われる為のアピールかと思われたのだが…。スキー・メーカーの策謀とプレイヤーのプライドが交錯する!
並みの恒星なら丸ごと輪切りにするカスケード砲を備えた戦闘艇で、薄暗い小惑星に陣を構えた俺。侵入してくる敵を迎え撃つのが役目だが、敵の発見・砲の照準はすべて後方司令室がやってくれる。俺が眠っている間に戦闘が終わっていたことも珍しくなかった。俺はいつもブラック・コーヒーとカフェオーレを間違える変調したアンドロイドを相手に、怒ったり慰められたり…。戦争ってのは、退屈で困るぜ!珍しくも秀逸な、鬼才のSF短編集。
バイクに乗って、ふらりとグランドキャニオンにやって来た15歳の日本人娘・日野さやか。軽飛行機でからかってきたジェスターと大喧嘩して、バイクと飛行機のどっちが扱いやすいか賭けをした。そしてさやかは、いきなり独りで飛行機を飛ばしてしまい、崖から落ちかけるが、上昇気流のお蔭で無事生還。これがさやかの初飛行体験だった。飛行機の魅力に憑かれたさやかは、フロリダの飛行学院に入り、飛行機免許の収得を目指す!恐れを知らぬ日本娘が、アメリカ航空界を揺るがす痛快巨編!