“あちらのものに好かれすぎると、帰れなくなりますよ”とある街で小さな骨董店を営むかたわら文筆家を志す「私」。買い付けてきたいわく付きの骨董を巡る不可解なできごとや、価値ある古物を求めてやってきた風変わりな客の身の上話を、毎夜徒然に書き留める日々を送っている。繕った古着が持ち主の願いを叶える「外套」、鉱物に宿る力が誘う「岩絵具」、買った人に別れをもたらす「香水瓶」など、これまでに見知った奇妙な体験を一冊の本に編纂しようと励むのだが、そのことがさらなる怪異を「私」のもとへ引き寄せてしまうのだった……。アンティークと民俗学にまつわる怪異創作まんが集。解説:及川祥平(成城大学文芸学部准教授)
ある町の片隅に、ミチカケという小さな古書店が佇んでいる。本を読みながら店番をする店主のサク。彼は、本の世界に遊びに行けるという不思議な力を持っている。現実の喧騒から離れたいサクは、その力を使って本の世界に行き、物語のなかで遊んでいる。そんな古書店には、今日もいろいろな客が訪れる。疲れた人、行き詰まった人、そして現実から逃げたい人―。彼や彼女たちもまた、本の世界に迷い込んでいく。疲れた日に楽園で寝転ぶ絵本、会いたい人に再会できるロマンス小説、自意識をリメイクしてくれるレシピ本―。仕事や人間関係に疲れた人が立ち寄って、ひと時の夢を見る古書店。思い出の本、好きな本、ずっと忘れていた本―。本の世界で遊ぶうち、少しずつ立ち直っていく。今日は、どの本で遊ぼうか?異世界へ繋がる古書店の物語。