潮が舞い込む海辺の田舎町が舞台なのでゆったりとした空気感があるけど、登場人物は多種多様で面白い。群像劇なので特定の主人公はいないけど、高校2年生たちのやり取りがメインのようです。第4話の同じ団地に住むマンガ家のお姉さんの話おもしろかった。これからどんなふうに展開していくのか楽しみ。
癖のある高校生達が謎のサークル『ブラックギャラクシー』でわちゃわちゃするギャグ漫画。やはり阿部共実のセンスが随所に光っている。発想が天才、面白気持ち悪い。女の子の長い髪を見て、ここは幼稚園くらいに生えた髪だから「ロリだ!」とか普通は思いつかない。ちーちゃんはちょっと足りないや空が灰色だからに見られる後味の悪さを期待すると、少し物足りなく感じるかも
前作『ちーちゃんはちょっと足りない』に続いて、舞台は海のみえる街、神戸のようです。というより、『ちーちゃん』の舞台が神戸だということを今作に連れられて読み返してみてはじめて知りました。それもそのはずで、『ちーちゃん』には海がそこにありながら描かれていない、真っ白い空白な画面があるばかりなのです。かろうじて海の存在がわかるのは、ナツとちーちゃんが丘の上から海を眺めるとき、ナツがささやか幸せを嚙みしめるシーンと、後半におなじく丘の上でナツがちーちゃんとの思い出をふりかえるシーンの二ヶ所のみ、そこでも海は淡路島のあることだけが示されてただ真っ白く画面にあるだけなのです。そのいっぽうで『ちーちゃん』には、うらぶられた地方都市の風景が丹念すぎるほどに描かれている。これはいったいどういうことか。おそらく『ちーちゃん』における風景は、ナツの目から見える神戸の街なのです。 そして今作『月曜日の友達』はどうかと言うと、海がしっかり描かれていて舞台が神戸だとすぐにわかる。そればかりではなく、潮風によって劣化した建物のほころびまでしっかり描かれている。それが『ちーちゃん』ではどうだったかというと、ただただ薄汚くてうら寂しい、どこにでもありそうな街の風景の一部にすぎませんでした。今作における風景は、水谷の目からみえる風景とみて、まず間違いないと思います。水谷は、この街の風景から、あるいは月野くんの目から、色んなことを感じ、尚且つそれらを美しいと思う。光に照らされれば当然のようにできる影にしても、水谷の目にはちょっと特別な美しいものに思われる。水しぶきが舞えば光が反射してキラキラするのがみえてしまう。そう、見えてしまう。水谷の目には色んな美しいものがみえる。同じ街でも、見る人が違えばこんなに違ったふうにみえるのです。 でも、実際には違うひとが見ているわけではないんですね。ナツにしても水谷にしても、やっぱり彼女たちは作者の分身であるわけです。同じひとがみていても、風景というものはこんなにも違ってみえる。ちなみに作者の阿部共実さんは神戸の出身らしいです。もしかすると、子供の頃はナツのようにつまらない街にしかみえなかった神戸が、大人になって美しい風景として見られるようになったのではないか、そんな想像をしてしまいます。
「死にたくなる〜」というタイトルからちーちゃんの後半のような鬱な展開が多いのかなと思ったらギャグタッチの作品が多くて驚いた。どれも、いわゆる普通の子とズレている子が出てきて、ギャップがおかしかったり悲しかったり切なかったりする。 特筆すべきは2巻の「8304」「7759」(どちらもタイトル)かな。 「8304」は本当にとても良かった。同じ小学校に通っていたけど、1人は公立中学へもう1人は私立の中学へ進学した仲良しだった男の子2人の話。変わっていってしまう友達に嫉妬したり、自分にはないものを恨んだりしながらも友達でいたいという思いがとても痛切に伝わってきたし、絵の表現もとても良かった。「8304」の水や雨の表現の仕方(スーパーボールが浮いているような感じ)は新連載の「月曜日の友達」にも引き継がれているように思う。
ちーちゃんは九九も怪しいちょっとおバカな感じだけどいつも楽しそうで、ちーちゃんとその友達の日常が前半では楽しそうに描かれている。ちょっとおバカなんだけど憎めないところがあってみんなから愛されているなぁというのが節々から伝わってきてほっこりもする。 後半はある事件をきっかけに不穏な空気が流れ始めて、さっきまでのほっこりかわいいという感覚が一気に消え失せて痛いくらいヒリヒリする。 前半で描かれている女子中学生の天真爛漫さも、後半で描かれている暗さや焦りもどちらも自分が中学生の時に感じたことのある思い出ででそれを強引に引っ張り出された感じがした。後半は結構暗い展開になっていくんだが、ただちーちゃんのちょっと足りない感じに救われもした。面白かった。
潮が舞い込む海辺の田舎町が舞台なのでゆったりとした空気感があるけど、登場人物は多種多様で面白い。群像劇なので特定の主人公はいないけど、高校2年生たちのやり取りがメインのようです。第4話の同じ団地に住むマンガ家のお姉さんの話おもしろかった。これからどんなふうに展開していくのか楽しみ。