「社長、私と寝てください。」 もう訪れることのない最後の夜だった。政略結婚を目の前に、未練の残る長い片思いをどうしても終わらせたかった。「そこまで言うのなら。」 この夜が過ぎたらすべての感情を終わらせて 東西自動車の社長と秘書という平凡な関係に戻れるような気がした。「俺も分かってる。なかったことにすればお互い今まで通り過ごせるって。でも…できないんだ。もう一度だけしないか あの日橘が俺に望んだように。」 しかし二度目に彼と寝た瞬間、もう本当に戻れなくなってしまった。