山奥にひっそりと佇む清々寺。この寺に関するある噂が、まことしやかに囁かれている。 なんでも、表向きは普通の寺だが、その裏で、人々からの依頼を受けて、法律では裁けない罪人を代わりに断罪する復讐代行業を行っているというのだ。 そんな噂を耳にし清々寺住職・涼の元へ訪れたのは、婚約者を自殺で失った男性。 彼の想い、覚悟、苦しみの全てを受け止めた涼は、彼を救済するべく、悪人に裁きを与える――。
中桐秋継は母を生まれてすぐに亡くし、唯一の家族である父親には躾といって暴力を振るわれていた。そんな父親が嫌いで、高校卒業後すぐに家を飛び出した。 以来、父親と会うことを避け、今では幼い息子に振り回されながらも、子どもに決して手をあげない「良いお父さん」を目指している。 ――親父みたいにはならない。この子も、他人に暴力を振るう子には絶対にさせない。 そんなある日、息子が幼稚園で友達を殴ったとの連絡が届く。何があったのか問い詰める中、息子が発した衝撃の言葉に秋継は――。
俺は海道歩、16歳。どこにでもいる普通の高校生だ。 ある雨の降る日曜日、両親は仕事で外出中のこの日に突然、クラスメートの愛田さんがやってきた。彼女がうちに来るのは初めてじゃないけど、今日はなぜか落ち着かない。 そんな時、黒光りする「ヤツ」が現れた。 男として愛田さんにカッコ悪いところは見せたくないけど、俺には「ヤツ」がとことん苦手な、ある理由があって――。