父と兄の原因不明の死のせいで伯爵位を継承するため、戻りたくもなかった故郷のイギリスへ帰ってきたクレーンは、強烈な自殺願望に襲われる。追いつめられた彼は超常的な力に救いを求め、能力者(プラクティショナー)のスティーブン・デイを頼るが、デイにはクレーンの家族を憎む十分な理由があった。彼の家族は暴君であったクレーンの父親によって破滅させられていたのだ――。KJ・チャールズ、待望の新シリーズ開幕! 短篇「刺青(タトゥー)に纏(まつ)わる間奏曲」も収録。
伯父から相続した古い屋敷で暮らし始めた新聞記者のロバートは、霊障に悩まされていた。壁は血を流し、夜な夜な聞こえてくる男同士の甘いうめき声――。依頼を受けたゴーストハンターのサイモンはまるでボクサーのような佇まいだった。彼が部屋に入りシャツを脱ぐとその体は文字で覆われていた。「物語が自らを書いている」と説明するサイモン。その後霊によって部屋に閉じ込められ、支配された二人は互いを激しく求め合う――。19世紀末の英国を舞台に、ゴーストハンター、サイモンにまつわる事件を新聞記者ロバートが記したオカルティック事件簿。
裕福な実業家ヒューバート卿の別荘に招かれた元英国軍大尉のカーティス。気乗りしないパーティへの参加にはある狙いがあった。自分の指を吹き飛ばし、大切な友人の命を奪った欠陥銃事件の真相を暴くという目的が。パーティで出会った詩人、ダ・シルヴァもまた別の目的で屋敷を調べていた。ともに行動するうち、カーティスは彼の個性的な振る舞いの裏に隠された鋭い感性に気づき惹かれてゆく――。20世紀初頭のロンドン郊外を舞台に繰り広げられる、冒険ロマンス。