月館の殺人

綾辻行人と佐々木倫子のコンビが魅せるコミカルなミステリー

月館の殺人 佐々木倫子 綾辻行人
渚ブルー

ミステリー作家の綾辻行人が原作、『動物のお医者さん』の佐々木倫子が漫画を担当するコミカルなミステリー。 女子高生の空海(そらみ)が夜行列車「幻夜」の車中で起こった殺人事件を、乗り合わせた鉄道オタクたちと真相を解明していきます。2005年に月刊IKKIで連載していたらしいです。 「犯人は誰か?」「殺した方法とは?」この二つの謎を巡って物語が進んで行きます。鍵となるのは走行中の列車に忍び込む方法ですが、綾辻行人によるミスリードが仕込まれています。これにハマってしまうと、読者は空海とともに大前提から認識を改めなければなりません。私もまんまとやられました。 また、事件が起きる前はもちろん、人が死んでからも鉄道オタクたちのギャグが連発されるので「みんなが空海を騙そうとしているだけで、殺人事件に見せかけたドッキリでは?」という疑問が何度か頭をよぎりました。 鉄道ギャグは「乗る」「撮る」「時刻表」など多岐にわたっています。鉄道に明るければオタクたちに共感できると思いますし、そうでない人も勉強になると思います。殺人やミステリーが苦手な人でも、クスリと笑える佐々木倫子のギャグが豊富なので楽しめますよ。