少年から大人に変わっていく思春期悩み、間違い、考えながらも少しずついろんなことに向き合っていく少年たちの物語――。文武両道でいつも自然と周りに人が集まる人気者の棚橋優征《たなはしゆうせい》。優征には誰にも打ち明けられない憧れている同級生がいる。それは、周りの友人たちが気にも留めないような目立たない少年、同級生の中川。ふたりはある出来事をきっかけに親しくなっていく……。表題作『変声』のほか「変声~それから~」「変声~蕾(つぼみ)」描き下ろし「モダンにめしませ」を含む4編を収録
新潟の山際にある雪深い町、雨生町《まごいちょう》は、県境にあるため最寄り駅までバスで45分かかり、コンビニも無い。そんな雪国の小さな町で、祖父母と両親とごくごく普通の生活を送る高校一年生の五十嵐風花《いからしふうか》。ある日、風花が学校から家に帰ると神奈川県から来たという存在さえ知らなかった従兄妹の賢心とゆき枝がいた。
鍵が掛かった思い出の引き出しを開けるには音とか匂いとか…そういう引き金があって。私にとってそれは、ラジオから流れるあの曲でーー。十五年ぶりに帰省した西ことり。道中、車から流れたある曲を聴き高校時代の記憶が蘇る。孤独だった高校時代に、唯一心を通わせた友人・岡本優子の存在。かけがえのない関係の二人だったが、あることをきっかけに溝が生まれ……。描き下ろし表題作「イエスタデイ・ワンス・モア」のほか第80回ちばてつや賞一般部門・準大賞受賞作品「しかたなしの極楽」、「サウダージの庭」を含む珠玉の3編を収録。
【この庭には まだ 彼女がいる気がする】 男やもめの藤田源は孫の柚月とふたり暮らし。ある日、日課の散歩をしようと家を出ると、妻の遺した庭が荒れていることに気付く。彼女が生きていた頃はまったく興味のなかったガーデニングをはじめてみた源だが―― ガーデニングを通して亡き妻に思いを馳せ、思い出を巡り、自分を知っていく物語です。
いつも自然と周りに人が集まる人気者の優征には、人知れず強く憧れている同級生がいる。それは、周りの友人たちが気にも留めないような、目立たない少年・中川で――… 少年から大人に変わっていく思春期。悩み、間違い、考えながらも、少しずついろんなことに向き合っていく少年たちを描いた物語です。
【2021年後期・第80回ちばてつや賞一般部門】準大賞受賞作品