幼馴染の結婚式に出席するシーンから始まり、中学高校時代の回想にたっぷりと尺を割いて各々の背景事情と揺れ動く感情の変遷をとても丁寧に描かれていく物語です。 幼馴染……その関係性からしか摂取できない成分は確実にあります。積み重ねた時間の長さの分だけ、さまざまな思い出も想いも堆積しているわけで。知り合って数年では生まれ得ない濃厚なものがそこには確かにあります。 ただ、一口に幼馴染と言ってもそこには無限の色合いがあり形があり化学反応が存在します。冒頭のシーンからも解るように、決してこれは仲睦まじく結ばれる幼馴染の物語ではありません。むしろ、特別で大切な関係だからこそ行なっておかなければならないものを描いています。 それでも、ふたりの間には周囲からは届かず理解が難しいふたりにしか共有できないものがありました。その何ともいえない愛おしさと、綺麗な感情とは裏腹に生じてしまう歪さのリアリティが胸を焦がします。 また、そんなふたりを遠巻きに取り巻く外野の存在の描き方も大変良いです。巻末の描き下ろしは最高でした。 濃厚な学生時代の描写と大人になった後とを読んで、人生は往々にしてままならないけれどこうやって一歩一歩進んで行くものだよなぁとしみじみ感じ入りました。 上質な感情が紡がれている物語です。
スミレって警戒してる割りに、普段ヘラヘラしてるチカの本質をちゃんと見てるんだよね。チカも何でも要領よくこなすのに、肝心のスミレにだけ不器用だったりで、見ていてもどかしい。…でもそれがいい(笑)
幼馴染の結婚式に出席するシーンから始まり、中学高校時代の回想にたっぷりと尺を割いて各々の背景事情と揺れ動く感情の変遷をとても丁寧に描かれていく物語です。 幼馴染……その関係性からしか摂取できない成分は確実にあります。積み重ねた時間の長さの分だけ、さまざまな思い出も想いも堆積しているわけで。知り合って数年では生まれ得ない濃厚なものがそこには確かにあります。 ただ、一口に幼馴染と言ってもそこには無限の色合いがあり形があり化学反応が存在します。冒頭のシーンからも解るように、決してこれは仲睦まじく結ばれる幼馴染の物語ではありません。むしろ、特別で大切な関係だからこそ行なっておかなければならないものを描いています。 それでも、ふたりの間には周囲からは届かず理解が難しいふたりにしか共有できないものがありました。その何ともいえない愛おしさと、綺麗な感情とは裏腹に生じてしまう歪さのリアリティが胸を焦がします。 また、そんなふたりを遠巻きに取り巻く外野の存在の描き方も大変良いです。巻末の描き下ろしは最高でした。 濃厚な学生時代の描写と大人になった後とを読んで、人生は往々にしてままならないけれどこうやって一歩一歩進んで行くものだよなぁとしみじみ感じ入りました。 上質な感情が紡がれている物語です。