宮殿の庭園をふたりの王が歩いて行く。ここはイオスの「夏の離宮」。デイメンの母が庭園を設計し、19歳のデイメンがかつて狩りに熱狂した思い出の離宮。運命を決したキングスミートでの裁判、カストールとの最後の戦いの後、瀕死の傷を負ったデイメンの傷もようやく癒えてきた。アキエロスの政情はまだ不安定でローレントの即位もこれから。忙しい二人だがここでならゆっくりと自分たちだけの時間を作ることができる。ローレントは戸惑いながらもいつもより素直な表情をデイメンに見せたーー。「叛獄の王子」エピローグの表題作ほか3作を収録した、「叛獄の王子」外伝。(収録作品)夏の離宮/色子語り/春の青さはうたかたの/布商人チャールズの冒険※本作は『叛獄の王子(外伝) 夏の離宮』にも一部収録されております。重複購入にご注意ください。
享楽の園、ヴェーレの宮廷で日々繰り広げられる饗宴。隣国アキエロスの世継ぎの王子デイメンは、腹違いの兄に陥れられ、ヴェーレの王子ローレントの前に奴隷として差し出された。手枷と首枷をはめられ、氷の心をもったローレントから屈辱的な扱いを受けるデイメン。しかし彼は心の自由を失ってはいなかった。そんなある日、己のうかつさから鞭打ちという罰を与えられ、ローレントにさらなる憎悪を抱くデイメン。しかし自国の民を救うため、彼はローレントの前に跪くのだった――。宮廷内で蠢く陰謀と愛憎。ふたりの王子の戦いが、幕を開ける。