「この先も知りたい? 僕は本気の恋をしないけど」加賀見商事会長の孫娘、幸は、大手ジュエリーメーカーの敏腕営業部長赤山に恋をする。勢いと祖父の権力に物を言わせ、赤山の部下として勤め先に入り込んだ幸。だが軽薄男を自称する赤山との恋は、世間知らずな幸にはどうしようもなく蠱惑的で、そして遠かった。彼を本気にさせるなんて、できないのかもしれないけれど……お嬢様の初めてのお仕事と、初めての危険な恋が始まった。
「秋希……、ずっと俺のものでいて」大手ジュエリーメーカーのデザイナーの秋希は、同じジュエリーデザイナーの修哉と、お互いの作品の試着会をする良き仕事仲間だった。だが結婚目前の彼女と別れたという修哉から、大人の慰め方をしてくれとせがまれる。七年の間密かに抱いてきた彼への想いを抑えきれず、秋希は彼を受け入れてしまう。御曹司の彼となれる関係なんて、よくてセフレだとわかっているつもりだったのに――。
「僕は、貴女の身体がほしいだけなので」その造形の美しさで世界的服飾ブランドを支える『ヤタニマネキン』。一つ一つが職人手作りの芸術品であるそのマネキンに、ファッションデザイナーの周音(あまね)はいつか自分の服を着せることを夢見ていた。だが思うように成果が出せずにいたある日、どういう訳か社長から隠遁生活中の息子の世話を言いつけられてしまう。その息子とはなんとあのマネキンの原型師、海鈴(みすず)で……。
「好きだよ。いまでもあの頃と変わらず…それ以上に」電器メーカーの事務員未知瑠(みちる)は、銀行役員である父の勧めで大手商社の御曹司とお見合いをすることに。だが待ち合わせのラウンジに現れたのは、かつて想いを寄せていた同い年の幼馴染洋人(ひろと)だった。思わぬ再会と政略結婚という関係に戸惑いながら、あの頃の恋を取り戻すように時と身体を重ねる二人。だが未知瑠は、他の女性と親し気に歩く洋人を見てしまい…
「泣くな。君は私を殺すために来たのだろう?」ギルノクス神聖王国の長い歴史にあり、最も崇拝される王となった最高司祭アレクシス。空虚な信仰の虚しさの中、幼馴染だった少女マイラとの再会を待ち望んでいた。だが彼女はアレクシスの命を狙う復讐者として、再び彼の前に現れた。捕らえたマイラにアレクシスは、情事の間であれば自分を殺す機会を与えると持ち掛ける。この世で一番大切な人を、もっとも粗末に抱く瞬間が訪れる。
「今度こそ、頷いてください。あなたを抱きたい」就職活動中に出会ったプラチナブロンドの彼、利央と、四年越しの約束を果たす時が来た。名前も知らない間柄だったけれど、次に再会した時には必ずセックスの誘いに応じると、友梨香は約束したのだ。スイートルームで極上のひと時を堪能し、これきりと思って別れた朝。職場で再会した彼は、なんと友梨香が勤める企業の御曹司で……!
これからの三ヶ月できっと、どうしようもないくらい恋に落ちていくのだ――コンテストに敗れ続け傷心のフレンチシェフ片倉美雪は、フランスから帰国する飛行機の中で食品メーカー社長の桜庭壮吾と出逢う。「俺に口説かれてみないか?」なし崩しにタクシーに乗せられ、ドレスを着せられ、きらびやかなホテルで一夜を過ごした美雪。行くあてのない美雪に、壮吾は三ヶ月の恋人契約を提案するが…。