神々を戴くカルデア王国。その北部の山脈に住む半獣民で黒狼のクロは、戦いの神を祀るニヌルタ神殿の主神官・エテルの守護獣に選ばれる。主神官は神殿において最も高位にあり、守護獣はその護衛役だが、まだ身体が小さなクロは戦力外とみなされ、形式だけの守護獣に留まっていた。それでもクロは美しく有能な主君のため、必死に鍛錬を積み、少しでも認めてもらえるよう努力を重ねる。しかし、当のエテルは人との距離感が淡泊で、感情を表に出さず、クロにまったく関心を示さない。そればかりか「私の領域に踏み込んでくるな」と激しい拒絶を露わにされる。実はエテルには信頼していた守護獣を身代わりに喪った過去があるらしく…?
【イラスト付き】大帝国・北窯の第一皇子である天焔は、勇猛果敢かつ聡明な指揮で不敗の軍功を重ね、その人となりから次期皇帝の呼び声も高かった。そんな天焔は、流浪の民である“華翡族”を従属させるため隣国へと赴く。駐屯して数日後、樹海の池で気を失っている少年を発見する。それは華翡族の子で、災厄を予見する“読み子”と呼ばれる存在だった。凪という名の少年を捕らえた天焔は、「同胞の命を保証する代わりに災厄を読む力で我が軍に功績を与えよ」と命じる。一族のため言われるまま力を使う凪に対し、潔い覚悟だと思う一方で、何事にも抗うことをしない生き方に天焔は次第に興味を抱くようになる。さらに、凪の力は実はその代償に己の命を削る行為だと知り……? 電子限定書き下ろしSSを収録!!
【イラスト付き】ロディア国の王城にある美しい薔薇の庭園。その庭には”薔薇城”が存在し、花の妖精である薔薇王と二人の王女、末王子のルキアが住んでいた。ルキアは次期薔薇王となる立場だが、臆病で気が小さく、姉たちに比べて妖精としての力も弱かった。そんなある日、ルキアは結界外の人間が住むロディア王城の庭に出てしまう。恐怖で手のひらサイズに縮んでしまったルキアを助けてくれたのは、第一王子のノヴァリスと第二王子のグランドだった。弟のグランドは勇ましいが威圧的で、気弱なルキアは萎縮しまともに話すこともできなかったが、グランドは未熟な自分から目を逸らすルキアを叱咤激励し、薔薇の王子としての誇りを与えてくれた。そんなグランドに惹かれていくが、手のひらサイズの身体で人間ではないルキアの恋は障壁が多くて・・・? 電子限定書き下ろしSSを収録!!
【イラスト付き】大帝国メフ・ルダードで皇位継承権を持つ皇子・ニルファには、空軍に所属し同じく継承権を持つイシュクという幼馴染みがいた。身分や継承問題からたびたび周囲から比べられてきたが、二人は不仲ではなく、何よりニルファはイシュクへ密かな想いを抱いていた。しかし、皇子同士で結ばれる術はなく、自分の想いを必死に抑える日々だった。そんなニルファの運命が皇帝崩御により大きく変わる。実はメフ・ルダードの宮廷には世継ぎを残すための儀式を行う「泉の間」と呼ばれる場所があり、その泉に浸かった者は男女問わず受胎できる身体になってしまうらしい。ニルファは何者かの手により「泉の間」の水に浸らされてしまい、受胎するための強い発情(ヒート)状態に入ってしまい…? 電子限定書き下ろしSSを収録!!
【イラスト付き】“太陽の恩寵を受けられず寒さに凍える”そんな呪いをかけられた平原の国。王のウオルシュは国を守るため我が身に呪いを移し替え、陽の光を受けられない昼は鷹の姿で別邸の水晶城に籠もり、ヒトの姿に戻る夜に本城で政務を執る生活を送っていた。ある日の早朝、鷹のウオルシュは雪原で小鳥を見つける。昼中寒さに晒されるウオルシュはあたたかそうな冬毛の小鳥で暖を取ろうと捕まえるが、それはヒトの姿を持つ鳥族の青年・エナガだった。ウオルシュはエナガを解放したが、なぜかエナガは翌日も城へやってきた。食料の少ない冬に手に入れたわずかな実を水晶城に届けにくるエナガのことがウオルシュは気になりはじめる。だが、王としての威厳と覇気を備えたウオルシュが迫るとエナガはいつも怯えてしまい…?電子限定書き下ろしSSを収録!!
"フィオーレ″の希少種であるオルティシアは、「西の街」を訪れた最高執政官・ジンと出会う。"フィオーレ″は花の種から生まれた異種族で、生きた宝石として「西の街」では珍重されており、王や貴族の鑑賞品として愛でられていた。その中で最も美しいと称されるオルティシアは、感情を表すのが苦手で、宴の席でうまくジンをもてなすことができなかった。しかし、ジンの優しい人柄に惹かれ、彼の帰国後も想いを募らせ続けた。そんな時、使節団のひとりとしてジンがいる「月の都」へ向かうことに。再びジンに会えると喜ぶオルティシアだったが、再会したジンに「『月の都』ではフィオーレの存在は認められていない」と冷たく言い放たれて…? 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
「太古の島」を二分する弦月国と焔弓国。この地はかつて、古の精霊族が棲む島だった――。弦月大公国の第三公子である珠狼は、焔弓国に占拠された水晶鉱山を奪還するため、従者たちを従え国境に向かっていた。その道中、足に矢傷を負ったレイルと名乗る青年に出会う。共に旅をするにつれ、珠狼は無垢な笑顔を見せながらも、どこか危うげで儚さを纏うレイルに心奪われていく。しかし、公子として個人の感情に溺れるべきではないと、珠狼はその想いを必死に抑え込むが、焔弓軍に急襲された際、レイルの隠された秘密が明らかになり――? 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
世間を震撼させる新種のウィルスが蔓延し、人々は魔族化した。その魔王を討伐する異端捜査員たち。彼らは、己を選んでくれた剣とともに魔族討伐を行う――。高校生の五百野馨玉は、ある日、大槻虎山と名乗る孤高の青年に出会う。異端捜査官候補生として育成機関の神学校に通う虎山は、強靭な力ゆえ、いまだ「剣無し」の状態だという。馨玉はそんな虎山と共鳴できる剣を胎内に宿す特別な存在らしい。虎山に「おまえの力が必要だ」と告げられた馨玉は、彼の剣となるべくライゼル神学校に編入させられるが…? 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
天空に住まう王を支え、得意な力で守る者たち・五葉――。次期五葉候補として下界に生まれた羽流は、自分の素性を知らず、覚醒の兆しもないまま、天真爛漫に暮らしていた。そんな折、羽流のもとに国王崩御の知らせが届く。それを機に、新国王・海燕が下界に降り立つことに。羽流は秀麗かつ屈強な海燕に強い憧れを抱き、「殿下の役に立ちたい!」と切に願うようになる。しかし、ついに最後の五葉候補が覚醒してしまい――? 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
上級天使のラトヴは、規律を破り天界を出た下級天使・リウを捕縛するため人間界へと降り立つ。そこで出会ったのは、人間に擬態した魔族・氷澤だった。天使を嫌う氷澤に捕らえられ、辱めを受けたラトヴは逃げ出す機会を伺うが、共に過ごすうちに、次第に氷澤のことが気になりはじめてしまう。だが、魔族と関わることは堕天を意味すると知っているラトヴは、そんな自分の気持ちを持て余してしまい…。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。