王妃たちやその子どもたちが暮らす後宮。そこで働けるのは、経験を積んだベテランや口の堅い有能なメイドだけ。後宮メイドのフィーナは寒がりで、いつも媚薬を飲んで体を温めていた。後宮で5年勤め、念願の温暖な地に異動が決定!と思ったら、そこは「冷徹将軍」と恐れられるシルヴェリオが治める南の砦。彼の第一印象は尊大で最悪…。けれど、後宮でのスキルを発揮するフィーナにシルヴェリオも一目置くようになる。ある日フィーナの部屋を訪れた彼は、間違えて彼女の愛飲する媚薬を飲んでしまう。火照りと熱い昂ぶりに襲われるシルヴェリオを見かねたフィーナはそれを鎮めるが、以来彼のフィーナへの独占欲が露骨になって…。
公爵令嬢のエレナには親に決められた婚約者がいるが、そこに恋愛感情はない。婚約を解消したいと思っている中、貴族の間で恋愛結婚が流行に。エレナも恋愛結婚がしたいと婚約解消を言い出してみるが、「ならば恋愛を経験させ、最終的に失恋させればいい」と、親がひとときの恋愛相手を用意していることを知る。憤慨したエレナは、お金につられてこんな依頼を受けるような性悪貴族には仕返しを……と考えるけれど、いざ現れたステファンはとても性悪には見えない。戸惑いつつも、彼のことを知るうちに惹かれていくエレナ。どうしてもステファンと結ばれたいエレナは大胆な手段をとるが、優男だと思っていた彼の様子が一変して……!?
傾国の相を持つ姫として、辺境の古城に幽閉されているシビル。年配の使用人に囲まれて静かに暮らしていたが、ある日、若い騎士が派遣されてくることに。女性問題を起こしたという噂が気になるものの、シビルは彼に惹かれていく。そんな中、シビルの秘密が彼にばれてしまい……。
一途な王子から想われ続けていたようで困りました!? 体力が自慢の男爵令嬢ターニャは家族のため城への出仕を決意。トントン拍子に採用された先で待ち受けていたのは特別な仕事──なんと、淫魔憑きの第二王子・ベルスラフに生気を分け与えること! 破格の条件で引き受けるが、彼は二年前に出逢った女性を思い続けている模様。その女性の正体が自分だと気付くターニャ。ベルスラフは生真面目で好感を持てるけれど、平凡な幸せを願うターニャには王族の妻になるなど厄介。当時の姿とは違うし、気づかれぬよう祈るが……ああ、食べられてる──快楽を与えられ、生気を淫らに貪られ、行為も毎晩エスカレートしていき……
セルマはヴェーリーン国の第三姫。決まっていた婚約話が消えた直後、彼女はやむない事情で隣国の辺境伯バーンハルドのもとへ嫁ぐことに。王女の誇りを持って育ったセルマは国のための結婚──それが愛のないものだったとしても受け入れる覚悟はできていた。結婚前の準備として辺境伯の元で一ヶ月間過ごすことになったセルマ。しかし、なかなか夫となる男との初対面が叶わない。挨拶もできていない状況から少し強引に会いに行くと、彼は凜々しく逞しい美丈夫だった。だが、セルマに一目惚れしたという彼はどこか頼りない。そんなある日、嫉妬にかられて見せたバーンハルドの別の顔にセルマは激しくときめいてしまって!?