『禁忌の愛』をテーマに上下巻総勢10名の作家陣が贈る、珠玉の書き下ろし短編集。巻末にはラフギャラリーを収録。禁じられるからこそ激しく燃える、様々な形の愛をお楽しみ下さい。■上巻収録作品:『その太陽は私のもの』(日野さつき)/『罪の花』(柴田花蓮)/『都合のいい夢をあなたと』(イシクロ)/『先生あのね』(小達出みかん)/『年上世話係の一途な禁断愛』(ひなの琴莉)
「あたしは運命の男よ。あたし以外はあんたには釣り合わないわ」第一王子から婚約を破棄された侯爵家の令嬢エリーズは、自身の将来や王都への失望を胸に遠方の観光地を訪れる。そこで彼女に声をかけたのは、優しい眼差しとオネエ言葉の美丈夫、騎士団長アドルフォだった。明るく美しい彼と麗しの一夜を共にするエリーズ。だが彼を伴い家に帰るエリーズを待っていたのは、自分を捨てた王子の新しい婚約者との邂逅だった…。
「俺はきみが羨ましい。あの子の成長を見守っていられたんだから」伯爵令嬢クラウディアは、食事会で出会い惹かれ合った次期侯爵カルミネと情熱の一夜を過ごす。それきり再会が叶わないまま時が経ち、クラウディアの妊娠が発覚する。風の噂で婚約したと聞いたカルミネの立場を案じ、おなかの子の父親が誰か決して言おうとしないクラウディア。激怒したクラウディアの父親は、彼女を家から追い出してしまうが……。
「きみの……未来の夫はもう決まっているのだろうか」山深い国の伯爵の娘アマリアは、亡くなった祖母が最期に過ごしていた療養地の侯爵、マルクスと出会う。どこか儚げで不思議な雰囲気のマルクスと一目惚れしあったアマリアは、めくるめく一夜を共にした後、彼の住まう緑豊かな療養地を訪れる。地元でも有数の医院の持ち主であるマルクスだが、アマリアはその地で囁かれる幽霊話を耳にして……。
この先出会う男性すべてを、あの人だと思えばいい──権力争いを嫌って城の外れの庭園に住む第六王女オデッタは、黒髪麗しい隣国の王子ヴィクトルと恋に落ちる。二人を妬んだ実の姉に命を狙われたオデッタは、差し向けられた刺客のわずかばかりの情けで、娼館に売られてしまう。命を奪われるよりはと震えながら覚悟を決める、処女のオデッタ。いよいよ開かれた二重扉の向こうから現れたのは……。
「……する?」「する」地元の名家だった実家を飛び出し、昼はバイト、夜はキャバ嬢として不安定な生活を送る美紀。夜の街で偶然再会したのは、美紀と同じくしがらみを嫌って家を出た、幼馴染の徹だった。かつての想いを取り戻すように、甘い甘い同棲生活を送る二人。だが美紀は実家に居場所を知られ、徹は実家のお家騒動のいざこざに巻き込まれてしまい――
美しい髪を保つことに誇りを持つ国、レオラ王国。そこに身分を隠した良家の子女たちが集うサロンがある。ナディアは伯爵家の息女ながらそのサロンを運営し、髪の手入れの手ほどきをしていた。客人のひとり長身で美しいミランダのどこか不思議な魅力に惹きつけられるナディア。「親しくなりたい」ミランダからの申し出に喜びで満ちるのだが、ナディアはその腕のなかに閉じ込められて──ふたりの周囲に降りかかる事件、ナディアに課せられる使命、そして“ミランダ”の正体とは──謎と秘密を解いていくうちにナディアは情熱的に愛される喜びを教え込まれていき……
「直接肌を合わせていたら、どれだけかわいい反応をするのか……知りたくなるな」──『眠る小熊座』に所属しランドマイズ国内をめぐっていたクロエ。興行を始めたころから彼女の手品見物に来てくれていた見目麗しい男性エルナンドにクロエはほのかな好意を抱いていた。しかしある日、強引に彼に誘われ戸惑う。断ることも彼の手を振り払うこともできず、されるがまま初めての快感を与えられ心を乱された。後日、エルナンドが公爵家当主と知り一層悩むクロエだったが、公爵家でのパーティの余興に一座が招かれ、彼の屋敷に滞在するなか更なる悦びを教え込まれ寵愛を注がれる。一方、クロエの抱える秘密にまつわる事件の核心にも近づきはじめ……。
ロアミール王国の王女・クリスチナは、モラヴィス公国との争いのなか身を潜めるためクラーラと名を変え、髪を染め身分を隠して場所を転々とし、ある村で暮らすようになる。そこで出会った端整で精悍な少年・ダミアンと心を通わせ――初恋だった。しかし互いに将来を誓った直後、突然終戦の報せが入り村をすぐに出なければならなくなる。ダミアンへの想いをおさえ、敵国の王子との政略結婚――王女として和平のため自らを捧げる決意をする。そして3年後、婚姻の日。目の前に現れたのは思いがけない人物! 喜びに包まれるクリスチナ。その晩、夫婦として肌を重ねるのだが、なぜか王子は素っ気なくすれ違いばかりで……!?
ずっと欲しかったんだ 私のカレは強引なケダモノ……学生時代に好きだったカレとの再会、そして恋に落ちた…… でもカレには実力者の娘という婚約者がいた――◆〈STORY〉「俺だけの前で、好きなだけ感じてくれ」彼の情熱が私の心を、体を変えていく――。学生時代からずっと好きだった勇輝と再会し、互いの気持ちを確認した麻里。勇輝は実家が経営するホテルの開業を手伝うため、故郷に戻ってきていた。幸せに浸っていた麻里だったが、勇輝が地元の実力者の娘と婚約していることを知ってしまう。“婚約は親同士が言っているだけ”という勇輝を信じる麻里に、婚約者が宣戦布告して…。