古い作品だということもあり、絵柄が少し古臭く感じましたが、読んでみるとすぐに気にならなくなりました。いわゆるラブコメで、高校の同級生が同居することになるなどご都合主義なところはありますが、最初は反発しあっている二人が少しずつ惹かれていくところは恋愛の初々しさが楽しめます。ただ中盤以降はドロドロの展開が多いですし、純愛ではなくなったような感じがするので残念だと思います。青春時代の恋愛なので欲望に負けるというのも理解できますが、やはりラブコメなら一途なほうが良かったなと思いました。
この作品の連載が始まったのはバブル絶頂期。そして主人公・高根沢八一は証券会社の営業マン。そんな華やかなりし時代の花形職業という浮ついた設定なのに、話はどんどん陰鬱になっていく。あの時代のサラリーマン漫画にしては異色の作品。しかしながら当時の若者の恋愛観がしっかり描かれていて、そんなところがヤングサラリーマンには人気だったと記憶しています。テーマはタイトル通りの理想の結婚相手探し。八一はさまざまなタイプの女性と付き合うのですが、うまくいかずに破局、の繰り返し。なぜダメなのか、その答えは読者にはよくわかるように描かれていて、逆に劇中の八一はそれに気づかないという、なんとももどかしいストーリーが延々と続きます。八一の恋愛下手っぷり、そして八一に関わる女性たちの行動。恋愛に対する価値観が変わりつつあった時代の中、まわりはそれに乗っかって成長していくのに、八一は変わることができない。いつの時代もこういう人っていますよね。こういう側面だけ見ると人間ってあまり変わっていないのかもなあ。30歳前に結婚で焦る、ってことはさすがになくなってきたけれども。
ある時代の日本の、ある価値観を強烈に反映した作品であり、それ故に人によって評価は分かれるだろう。ここに出てくる作者の「美学」は2017年の日本のネット上に晒されたら確実に炎上する。連載当時(2002年くらい)ならカウンターとして有効だったかも知れないが、今の感覚からするとびっくりするような表現だらけで、改めて時代の移り変わりを実感した。いつか「こんな時代もあったんだな」と面白く読める日が来ることを願う。
※ネタバレを含むクチコミです。
古い作品だということもあり、絵柄が少し古臭く感じましたが、読んでみるとすぐに気にならなくなりました。いわゆるラブコメで、高校の同級生が同居することになるなどご都合主義なところはありますが、最初は反発しあっている二人が少しずつ惹かれていくところは恋愛の初々しさが楽しめます。ただ中盤以降はドロドロの展開が多いですし、純愛ではなくなったような感じがするので残念だと思います。青春時代の恋愛なので欲望に負けるというのも理解できますが、やはりラブコメなら一途なほうが良かったなと思いました。