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まの瀬
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まの瀬の作品の感想・レビュー
2件
梵字やクトゥルフや中島みゆきに詳しいオタクに優しいギャル #1巻応援
この復讐にギャルはいらない まの瀬
兎来栄寿
端的に言って、大好きです。 『顔がこの世に向いてない。』のまの瀬さんによる、2年ぶりの新刊。 こちらの単行本に帯を書いている桜井のりおさんが、先日『僕ヤバ』にて2023年始まって早々に今年の全ラブコメにおける最大級の衝撃では? というクラスのものを繰り出してきてしまったので大変に大変なんですが、少なくとも今年発売される「オタクに優しいギャル系ラブコメ」の中では飛び抜けて好きかもしれません。 メインストーリーとしては、幼い頃に両親を殺されて殺し屋として育てられた少年が、とある切っ掛けからクラスメイトのギャルと急接近するも彼女はもしかしたらファミリーが裏切り者の自分を殺すための刺客かもしれない、という警戒心を抱きながらも進展していくラブコメです。 ……なんですが、そこかしこの言動にマシンガンジャブからの千手観音かというくらい小ネタ・小ボケを盛り込んできて、独特の雰囲気を醸し出しています。 『名探偵コナン』、『ドラゴンボール』、『クレヨンしんちゃん』など国民的なマンガのネタはもとより、部屋番号が237なのを見て「不吉だな…」となるシーン(ROOM237)であったり、「M-1優勝コンビ」にまつわる天丼ツッコミであったり、合唱コンクールの課題曲がDA PUMPのif…(初出は2022年M-1よりずっと前)であるなど縦横無尽です。 個人的に特に好きなのは、レオポンと諏訪ちゃんの二人のJKによるJKらしからぬ応酬の数々。 「諏訪ちゃんのノート独特でさ なんかほぼヴォイニッチ手稿」 と語られる名状しがたいノート。 背中に指で文字を書いて当てるゲームでの 「何て書いたか分かった?」 「キリーク(千手観音や阿弥陀如来を意味する梵字) 「正解!」 というSASUKEの新しいファイナルステージより高そうな難易度をあっさりクリアしていく様。 「織りなす布作戦(オペレーションウィービングクロース)!」 と題して 「縦の移動はあなた!」 「横の移動はあーし!」 と、ギャル言葉も忘れずにクレーンゲームを攻略していく図。2010年代でも中島みゆきさんの「糸」は度々いろんなCMに使われていたので、JKがギリギリ知っていてもおかしくはないという絶妙な匙加減。でもクトゥルフや梵字は説明がつかないですが、それがいい。 丁度、今日Twitterに投稿されてバズっていた4Pマンガが、本作の雰囲気を掴むのにはうってつけです。 https://twitter.com/manosejiro/status/1619181635429355520?s=46&t=ousazNCobpW3eJ58V_V4vQ JKとは本来縁遠いものを滑らかに語るJK、良いですよね。この小ネタ満載感は、小路啓之さんやTAGROさん、道満晴明さん辺りの作品が好きな方は大好きな雰囲気ではないでしょうか。 しかし、ただネタに走っているだけではなく、本筋のラブコメ部分の破壊力も高いのが本作です。 『顔がこの世に向いてない。』のときよりも絵の魅力が強くなっており、決してずば抜けた画力というわけではないのですがシーンによってヒロインのかわいさと魅力は天元突破。 また、殺し屋として孤独に生きてきて、今後も孤独に生きていくつもりだった主人公が天真爛漫なギャルによって絆されていく構図がいいです。それはまるで、根雪を解かす太陽のようで。主人公がひとりでダイナーに行ったときのエピソードなど、本当に大好き。 不思議な魅力の詰まった作品で、ラブコメ好きの方にはもちろんそうでない方にもお薦めしたいです。
ラブコメの皮を被った強烈コメディ
顔がこの世に向いてない。 まの瀬
sogor25
自分の見た目に自信がない女の子と彼女を好きになった男の子のラブコメ…だと思ってました1話までは。いや1話はもしかしたらそうだったのかもしれない。 でも読み進めると嫌でも気付く。「あ、これ完全にシュールコメディだわ、ラブやる気あんまねぇぞ」 なのでラブコメを期待したら若干肩透かしを食らいそうになるけど、途中から正直そんなの気にならなくなる。なぜなら純粋にコメディとしてめちゃくちゃ面白いから! 選択するワードのセンスがすごく高いし、各キャラがボケ役にもツッコミ役にもなれるからとにかく密度が濃い。 作品のベースは主人公の野宮さんの卑屈さ、自虐性なんだけど、自虐系のネタを面白さに変換するのって実はかなり難しくて、でもそれをさらっとやってしまってる辺りからもセンスの高さが窺い知れる。 1巻まで読了
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