多才で社交的な双子の弟・樹に、根深い劣等感を抱く浅岡幹。家族や学校から孤立する中で、七つ年上の恋人、喬木一矢には盲目の信頼を寄せている。しかし喬木にとって幹は、かつて手酷く自分を振った教え子・樹の形代でしかなかった。身を引こうとした幹を、喬木は必死に引き留める。その頃、喬木と樹にパリ大学への招聘が持ち上がった。『必ず迎えに来るから、待っていてほしい』。幹に将来を誓い、渡仏した喬木。ほどなくして喬木からの連絡が途絶え、出した手紙も住所不明で戻ってきてしまう。不安を募らせた幹は、親友の助けを借りて、フランスへの一人旅を決意する。一途すぎた初恋の行方は──?虚飾と打算だらけの気持ちをくすぶらせるゲス男と切ない想いに身を焦がす健気男子の歪な恋の物語…。
高校進学を機に育ての親の元を離れ、生家に戻った『浅岡幹』。多才で社交的な双子の弟・樹と常に比較され、根深い劣等感を抱えていたが、七つ年上の喬木一矢との出会いと恋とが、幹の世界を一変させた。喬木の愛情と優しさは幹の頑なな心を溶かし、やがて幹は盲目なまでに喬木への信頼を深めていく。幹にとってそれは、生まれて初めての、一生に一度の恋だった。だが喬木の思惑は幹ではなく、かつて彼を手酷く振った少年、樹の上にあり同じ姿の幹を手に入れた今、喬木はまた樹にも急接近してゆき――?ゲス男×健気男子の歳の差ラブストーリー★単行本カバー下イラスト収録★【電子限定で描き下ろしのショートストーリー8ページが収録されています。】