日本の米作り・農業問題を取り上げた社会派漫画。 三倍増醸酒と純米酒をめぐり日本酒業界の問題点を露呈させた作品 作品中の幻の酒米を復活させるというのは実話らしい。 亀の尾というお酒を見つけたら、この漫画を読んだ後、見てみてください。
お酒自体好きではあったものの、独特の風味や匂いが合わず中々好きになれなかった日本酒。ですが、この作品を吟醸酒作りに人生を賭け取り組んでいる人達の熱い思いがあることを知りました。そして日本人でありながら日本酒に関する知識が無い事にも気付かされましたが、単に日本酒のうんちくを語るのではなく、主人公の佐伯夏子が出会う試練を通して教えられるので、嫌味がないので受け入れる事が出来ます。日本酒を飲んでみたくなる「夏子の酒」悪くないです。
ドラマ化もされた今から20年以上も前の作品。日本酒造りの工程や酒蔵のしきたりなど、酒造りについて学べて面白いです。 夏子の酒の主人公の佐伯夏子は、東京で就職して働いていたのですが、実家の酒造で働いていた兄が亡くなってしまったことをきっかけに実家に戻ることから始まります。最初はお酒に対する知識も豊富ではないのですが、様々な出来事を通して経験を積み成長していくという姿が魅力的でした。 お酒について今まで知らなかったようなことを沢山知ることができますので、お酒について学びたいというような方にとっては役に立つはずです。 もちろん普段、あまりお酒を飲まない人でも十分楽しめる内容なので、たくさんの人にオススメしたい漫画です。 ちなみに「和久井映見」主演でドラマ化され私は再放送でドラマを見ましたが、原作との違いは少しありますがこちらも見て損はなかったです。あと「奈津の蔵」というタイトルで続編があるので、続きが読みたい人はそちらもぜひ。
オリンピックを目前にして、ボルダリング漫画が幾つか連載されているが、皆さんは、ボルダリングとフリークライミング、ごっちゃになっていないだろうか? まず、岩壁を登るものの総称として「ロッククライミング」がある。 ロッククライミングは、岩に器具を打ち込み、縄ばしごやロープを使って登る「人工登攀」と、最低限の安全確保のロープのみで、壁面に足場を見つけて身体能力で登る「フリークライミング」に分けられる。 フリークライミングの中でも、安全ロープすら使わず、3〜5メートルの低い壁を攻略するのが「ボルダリング」。10〜20メートルの高い壁を、安全ロープを持つ人と二人で挑む「ルートクライミング」より始めやすい。 (ルートクライミングの中でも難易度の高い種目が「リード」で、ボルダリング、リードに「スピード」を加えたのが、オリンピック競技のスポーツクライミング) 人工壁を登る大会の様子はTVで目にするが、あの選手達はしばしば、自然の岩壁にも挑戦する。決して安全ではない、人間を拒む険しい自然に、目を輝かせて挑戦してしまう彼らの初期衝動を描いたのが、この『オンサイト!』という作品だ。 ★★★★★ 増水した川から絶望した少女を助け出す為、少年は急な崖を、少女を背負って登る。命懸けの登攀に成功した少年は、その時から、岩登りに取り憑かれる。そして彼の背で、共に登った少女もまた……。 ★★★★★ 少年は二度、三度と同じ壁を登ろうとするが、上手くいかず、危険な目に遭う。自然の厳しさを知って尚、岩に惹かれる彼を、少女はフリークライミング講習に誘う。そこで面白さに嵌った二人は、のめり込んでいく。 体力では断然有利な少年だが、クライミングのセンスは少女の方が上で、互いは競うように日々、研鑽を積む。 彼らの前には両親の不和、在日韓国人の微妙な問題といった重苦しさが現れる。しかし彼らはそれを忘れるように、クライミングに打ち込む。その様は切ないのだが、面倒な人間のドラマに立ち向かうのではなく、逃げるように別の事に夢中になることで、彼らは却って人として成長する。特に生気のなかった少女の前向きな変貌は、見ていて楽しい。 弱々しい子供がある時、何かに魅入られ、そこから一つ一つ積み上げるうちに、いつの間にか大きな世界を見据えるようになる。そんな成長譚として、震える物語だ。 『のぼる小寺さん』の10年前、2005年のこの作品は、フリークライミングの全体像と、競技に魅入られる選手のマインドに触れられる感動作。最近の「ボルダリング女子漫画」の原点として、比較してみても面白いかもしれない。
頭ごなしにやっても、いい結果にはならないですね。普天間にしても八ツ場ダムにしても周りは振り回されるだけで、結局残ったのは自然の破壊とやりきれない気持ち。日本人は過去から学ぶことができないのでしょうか。本作では成田空港開港に伴う顛末、いわゆる「成田闘争」が描かれていますけど、これなんかは私が生まれたころの話ですから、ほんの40〜50年ほど前の出来事。空港が建設されることが決まり、長い年月をかけて開墾してきた土地を奪われることになった農民たちの必死の闘争が、限りなく実話に近い形で描かれていて、現代に生きる私でも身につまされます。どこかで聞いたような「決めたから従え」という暴挙の果て…。土地とは何か。国との対立や利権がらみの大人の葛藤など、複雑な環境で育つ子供はどんな夢を見るのか。時代背景も違うしスケールや立場も違うけれど、投げかけられるテーマは今でこそ考えるに値する意味を持っていると思います。
趣味ってのはなんでもそうだと思いますが、身近に先達がいないとなかなか身につきません。誰かが順序よく教えてくれないと、途中でイヤになってしまうのですね。それ以前に、どこから入っていいかわからず手を出せなくなってしまったり…。私が今、手を出そうか躊躇しているのは、Jazz、競輪、そして落語です。 『どうらく息子』は落語家の漫画です。落語を題材とした漫画といえば私の中では『寄席芸人伝』(古谷三敏)が永遠の金字塔であります。『寄席芸人伝』には名人と呼ばれた落語家達の、人間模様が描かれていました。彼ら名人は皆、自分だけの道を探しだし、その道を歩んでいきます。『どうらく息子』で描かれるのは、名人に憧れた普通の青年が落語という世界で自分だけの道を探しだそうとする物語です。 主人公・翔太は親戚の幼稚園でバイトする青年です。どうしたら子どもたちは笑ってくれるだろうか、どうしたら自分の話に引き込めるかを考えていた翔太は、人に進められるまま入った寄席で惜春亭銅楽の「時そば」を観ることに。まるでそこにそばがあるような銅楽の芸にのめり込んだ翔太は、銅楽の弟子になろうと、強く思い始めます…。 やがて、銅楽の弟子になり、銅ら壱という名前をもらった翔太の、金ない、ひまない前座の生活がはじまります。先輩方の生き方を見ながら、少しずつ銅ら壱は落語家としての道を歩んでいくのです。 『どうらく息子』は落語のシーンも魅力的です。落語のシーンは作中作として、登場人物が熊さんや与太郎として登場します。3巻の「牛ほめ」のちょっと抜けた与太郎は、まだまだ駆け出しの銅ら壱が登場しますが、その時の銅ら壱の状況とあわさって、なるほどなあと感じます。 私が特に心に残っているのは10巻で描かれる『紺屋高尾』。とても美しい話です。紆余曲折がありながら、二ツ目に昇進が決まった銅ら壱は、『紺屋高尾』という廓噺をものにしようとします。花魁と紺屋の職人の身分違いの恋の話ですが、花魁の了見がわからず苦戦します。しかし、時間をかけ、自身の恋愛も交えていくうちにだんだんと形を出来てきます。そして初見世。熱演する銅ら壱を象徴するように、シリアスに描かれる『紺屋高尾」の物語。そして、美しいクライマックスの後、舞台のシーンが一瞬交錯しそのままラストに…。 読み終わったあともしばらく余韻が残ります。
日本の米作り・農業問題を取り上げた社会派漫画。 三倍増醸酒と純米酒をめぐり日本酒業界の問題点を露呈させた作品 作品中の幻の酒米を復活させるというのは実話らしい。 亀の尾というお酒を見つけたら、この漫画を読んだ後、見てみてください。