保育士のスカーレットは亡くなった姉の息子サムをひき取り、育てていた。生活は決して楽ではないけれど、サムの笑顔にすべてが癒される。そのサムと、大企業の経営者ローガン・オヘイガンが似てるなんて、なぜ一瞬でも思ったのかしら? 彼は長身でたくましく、ダークブラウンの瞳は罪深いほど素敵な男性。でも、世間ではプレイボーイとウワサされるような人よ。甥に優しく近づいてくる彼の、私に向ける目はなぜか敵意がにじんでいる。何をたくらんでいるの…!?
仕事はできても、恋愛下手…。30間近になって2年付き合っていた恋人にも捨てられて…「彼は他の女を選んでしまった」。「もう何もかも疲れてしまった…」そんなボロキレ状態の私の前に現れたのは、社内でも有名な無愛想男・戸川俊介。だけど、不器用な言動の中にある優しさが、私の背中を押していく―― あなたが私を気遣う理由は何!? ※第1話~第4話を収録。
なぜ、私にキスするの――? 休暇でロンドンを離れ、地中海を訪れていたレオラはある晩、突然背後から見知らぬ男に自由を奪われた。なす術もなく恐怖を感じているレオラに、男は唇をかすめるようなキスを落とす。無慈悲な戦士のように私を力ずくでさらったくせに、いったいあなたは何者なの? レオラの質問に答えず、謎めいた男はただキスを深め、気がつけばレオラは意識を失っていた。彼が地中海の島に君臨するイリュリア公国のプリンスとは知らずに。
目が覚めると、記憶を失くしていた。私は赤ちゃんとともに列車事故に巻きこまれ、偶然医師スチュアートに命を救われた。彼によれば、赤ちゃんは彼の姪で、私は彼の亡き兄の妻デザレイだという。兄と長く疎遠だったため、私とは初対面らしい。私に夫がいたなんて…。不安に押しつぶされそうなデザレイだったが、親身に支えてくれるスチュアートに、いつしか心を許すようになっていた。――だがほどなく驚きの事実が判明する。彼女はデザレイではなかったのだ!
あなたはまだ私を従わせる力をもってるのね…。サディーは元婚約者ニコスに、恥を忍んで5年ぶりに会いに来た。ふたりの家はビジネス上のライバルで昔から険悪だったが、ふたりの婚約を機に和解の方向へ進むはずだった。が、式の直前になぜか会社の潰しあいが始まり、競争に敗れたサディー一族は、今やニコスに屋敷すら奪われようとしていた。サディーは今、心を病んだ母と幼い弟のために屋敷を借りたいと頼みに来たのだ。それに対し、ニコスの呈示した条件とは…?