あらすじ

杳子の妊娠がわかり、貴史は大喜び。杳子も前向きに大姑のお世話をしようと決意する。そんな折、貴史が中東のS国への海外赴任を命じられる。ひとり暮らしは危ないから、と貴史は杳子に田園調布の実家で義父母と同居することを勧めるが、杳子はどうしても気が乗らない。

ごく平凡なOLだった杳子が小椋家の長男と結婚したことをきっかけに壮絶な嫁姑戦争に巻き込まれ……。未来の義父と義母に会うため、戸越杳子は田園調布にある貴史の実家を訪れる。温かい家庭に触れ、思わずほっとする杳子。だが、家の裏庭で生魚をむしゃぶりつく老婆を見つけ愕然とする。老婆は小椋家の大姑だった。

羅刹の家(1)中

貴史の母、綾乃によると大姑は単なる痴呆症で、杳子が世話をする必要はないという。不安を抱えながらも杳子は結婚を決意、盛大な披露宴を行い、ふたりだけの新婚生活もはじまった。ところがひょんなことから大姑が寝たきりに。今後の話の流れから杳子がその世話を手伝うことになるのだが……。

羅刹の家(1)下

杳子の妊娠がわかり、貴史は大喜び。杳子も前向きに大姑のお世話をしようと決意する。そんな折、貴史が中東のS国への海外赴任を命じられる。ひとり暮らしは危ないから、と貴史は杳子に田園調布の実家で義父母と同居することを勧めるが、杳子はどうしても気が乗らない。

羅刹の家(2)上

義父母との同居が始まったが、杳子の不安は的中。綾乃は大姑に冷たくあたり、杳子の手紙を盗み見し……。一方、義父、義夫に愛人がいることも発覚。義妹、沙江子はフィアンセの逸郎を杳子に盗られたと思いこむ。小椋家の闇を見せつけられた杳子は自信を失ってしまう。そんな折、大姑が綾乃と間違えて杳子を殺そうとする事件が起きる。

羅刹の家(2)中

大姑が亡くなり、事件を綾乃になじられた杳子も流産してしまう。杳子はいったん戸越家に戻ることにするが、赴任したまま連絡がとれない貴史に会うため単身、S国へ向かう。なんと貴史は事件に巻き込まれ、大けがを負っていたのだった。わだかまりが解けた杳子は帰国後、あらためて同居を決意。その裏にはある信念があった。

羅刹の家(2)下

S国での一夜は杳子に新たな命を宿すことに。だが喜ぶのもつかの間、同じ産婦人科で義父、義夫と愛人、史子の姿を目にする。しかも一緒に病院を後にするのを綾乃に知られてしまい、仲を邪推までされてしまう。家を出る義夫……。同じ屋根の下で住むという事実に絶望的になった杳子は綾乃を呪い殺すべく、丑の刻参りを実行する!

羅刹の家(3)上

小椋家を出る決意をした杳子だが、姑、綾乃はとっさに自分の腕を切り、入院。命をかけて足止めしようとする。そんなタイミングで帰ってくる夫、貴史に杳子はやはり不信感をぬぐえない。貴史はこれを機に、父に戻るよう説得するが、愛人の史子は小椋家の秘密を盾に一歩も引かない。それは貴史が義母の不倫の末に生まれた子であるという衝撃的な事実だった。

羅刹の家(3)中

義夫の愛人、史子の体調が悪化し、原因不明のまま流産してしまう。それもやはり綾乃の仕業であった。杳子はそんな義母を見限って実家に戻り、元気な男の子、昴が誕生する。喜ぶ杳子だが、幸せもつかの間、綾乃は初孫と住むことを強要する。杳子にとっても弟夫婦のいる実家は居心地がよいとはいえなかった。

羅刹の家(3)下

流産したことを史子に逆恨みされ、貴史が刺されてしまう。その事件さえも杳子は綾乃に責任を転嫁され、思わず平手打ちするが、相手は一歩も二歩も上手だった。家を出た義夫がG温泉にいるらしいとわかり、貴史と杳子は所在を確かめに行く。だがそこで新たな事件が起きる。

羅刹の家(4)上

貴史は杳子に内緒で会社を辞めていた!これをきっかけに田園調布での二世帯同居が再スタート。家には義夫、貴史の妹の沙江子も戻っていた。しかし夫婦生活や昴のしつけなど、綾乃との溝は深まるばかりで、杳子の不満を貴史はまともにとりあおうとしない。そんななか、杳子は同じように綾乃に虐げられていた義夫に共感するようになる。

羅刹の家(4)中

元彼で銀座の資産家、宮地誠志とよりを戻そうとしていた沙江子は首尾よく妊娠が発覚。とんとん拍子に結婚が決まったが、一方で新たな嫁姑戦争のはじまりを予感させた。そんなある日、義父、義夫は事件の後遺症からか頭痛を訴えて入院することに。心配する杳子に義夫は財産を譲ろうとするが……。

羅刹の家(4)下

快方に向かう義夫の病室で久しぶりに話す父と息子。貴史は父に対するわだかまりが少しずつ解けていくのを感じる。一方、沙江子のハネムーンに新郎の母が同行したことを知った綾乃は、娘の身を案じて家に呼び戻そうとする。無事退院した義夫だったが、ある晩、倉の中で息をしていない状態で発見、そばには綾乃の姿が……。

羅刹の家(5)上

遺産をほとんど渡さないという義夫の遺志を知り、綾乃は半狂乱となって入院。家族の身の危険を感じた杳子は、綾乃の気をかつての恋人でお茶の家元、華之坊元之へと向かわせようとするが、その考えは簡単に見透かされてしまう。そんななか今度は昴が原因不明の病にうなされる。その原因もやはり綾乃であった。

羅刹の家(5)中

杳子は昴を連れて家出、京都の料亭に嫁いだ親友、満智子の元に身を寄せる。だが気を利かせた満智子が貴史を呼び寄せると貴史は母からの自立を宣言し、ふたりは和解。一方、綾乃は娘、沙江子の出産を機に、憑きものが落ちたかのように冷静になり、田園調布の土地に新たに離れを建てて住むという。しかしその家に沙江子も住み始め……。

羅刹の家(5)下

杳子は貴史に、離婚するか綾乃を捨てるかの選択を迫り実家に戻ってしまう。貴史は愛する妻子のためにと、綾乃を老人ホームに入れることを決断するが、心労もあってか重い腸閉塞にかかり入院。凄絶嫁姑戦争の決着をつけるべく、杳子はひとり小椋家に戻る決意をする!