あらすじ9人のうち、死んでもいいのは、――死ぬべきなのは誰か? 一晩だけ過ごす予定で入り込んだ地下建築。だが、入り口を大岩に塞がれ地下からは水が迫る。ここから出るためには誰かが残って犠牲にならなくてはならない。それなのに、生贄に最も近かった裕哉が殺害され、その後も殺人が続く。タイムリミット目前に判明した犯人、そして残酷な選択が!! ※こちらの商品には、巻末にデジタル版限定特典イラストが収録されています。
週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位、MRC大賞2022第1位、 2023年本屋大賞 7位受賞など、高い評価を受ける夕木春央さんの『方舟』。 そのコミカライズを『誰かを呪わずにいられないこの世界で』の木場健介さんが構成、「5人の内、誰が死ぬか」の悠木星人さんが作画という形で行なっている作品です。 私は『方舟』は原作既読で楽しんでいたので原作との違いを楽しむ方向性で読んでいますが、「5人の内、誰が死ぬか」も良い短編サスペンスだったのでマンガ化にはぴったりだなと思いました。 『方舟』はいわゆるクローズドサークルで、若い男女が閉鎖空間の中から脱出できない状況に陥り、その中で事件が起こっていくタイプのミステリです。 この手の作品は大学生グループが多いのですが、本作の主人公たちは大学で繋がりを持った社会人です。それによって特徴となっているのが、主人公が大学時代から好意を抱いていたヒロイン的ポジションの女性が既に別の人物の人妻になっているという点。いわゆるBSS的な要素も入っており、そこもある種他の同系統の作品とは異なる見所となっています。 たくさんの名作が書かれてきたジャンルですが、そこでこの評価を受けるだけの理由はしっかりと存在する作品です。連載部分では遂に犯人が明かされるところまで描かれており、単行本を読んで続きが気になってもマンガUP!で読むことができるので親切です。 エンターテインメント性の強い設定なのでマンガにしても面白いだろうなと思いながら読んでいましたが、キャラクター含めおおよそイメージしていた通りにコミカライズされています。 普段小説は読まないという人も、推理系やサスペンス系のマンガが好きな方であれば間違いなく楽しめるでしょう。ぜひ、最後まで見届けて欲しいです。