あらすじ

春がやってきました。ももちゃんは、一歩ずつ、少しずつゆったりと人生の階段を踏みしめ、あらゆるものに触れながら、学びながら、自然に大人に近づいてゆくようです。健やかに育つももちゃんの成長を、世界一の暖かさで包んでくれるのがぱじの愛情なのです。
ぱじ(1)

お父さんがコロリと死んで、お母さんがポロリと死んで、ももちゃんはおじいちゃんと二人暮らしです。パパがわりのおじいちゃんなので、ももちゃんは「ぱじ」と呼んでいます。

ぱじ(2)

ぱじとももちゃんの平穏な二人暮らしにも様々な事件が! ももちゃんが風邪をひいたり、ぱじが倒れて入院したり…。でも、そんな困難を無事乗り切ったら、ますます咲田家の(二人だけだけど)絆は強くなったよ。

ぱじ(3)

ぱじとももちゃんは二人暮らし。でも、友だちがいっぱいいるので、二人はさみしくありません。優しいハルさん、頼りになる伊達さん、大家族のヨリちゃん、元気なノリくん…。ぱじとももちゃんのまわりからは、いつも笑い声が聞こえてきます。

ぱじ(4)

ももちゃんが“あれなあに?”と聞けば、ぱじは“それはね――”と教えてくれます。いろんなものを見て、いろんな人に会って、いろんなところに行ったりしているから、二人暮らしもさみしくありません。そして、ももちゃんの小さな世界が、毎日、ちょっとずつ大きくなるのです。

ぱじ(5)

ももちゃんの瞳に飛び込む世界はすべてが宇宙――そのピュアな眼差しは、かつて僕たちが子供の頃に持ち合わせていた“あの頃の心”を想い出させてくれます。ぱじと、ももちゃんの過ごす空間には、忘れかけていた人への優しさや思いやりがいっぱい。

ぱじ(6)

春がやってきました。ももちゃんは、一歩ずつ、少しずつゆったりと人生の階段を踏みしめ、あらゆるものに触れながら、学びながら、自然に大人に近づいてゆくようです。健やかに育つももちゃんの成長を、世界一の暖かさで包んでくれるのがぱじの愛情なのです。

ぱじ(7)

小さかったももちゃんも、いよいよ小学生。学校で過ごす分だけ、ぱじとの時間は少しずつ少なくなっていきます。だんだん大人になっていくももちゃんがうれしくもあり、ちょっぴりさびしくもあるぱじ。だから、二人だけの時間を大切にしたいと心から思うのです。

ぱじ(8)

小学校での生活にも慣れたももちゃん。個性的な先生やクラスメイトたちに囲まれ毎日楽しく過ごしています。ぱじも伊達さんと始めた修理屋さんが大忙し。充実感一杯で毎日働いています。でも、二人にとって一番楽しいのは家でいっしょに過ごす時間なのでした。

ぱじ(9)

お父さんがコロリと死んで、お母さんがポロリと死んで、ももちゃんはおじいちゃんと二人暮らしです。パパがわりのおじいちゃんなので、ももちゃんは「ぱじ」と呼んでいます。 ――ふたりが織りなす、あったかくて、おかしくて、でもちょっと切ないお話の数かず。忘れかけそうな何かを思いださせてくれるお話を次はあなたが誰かに語ってあげてください…。

ぱじ

温かくもどこか切ない老人と幼子の生活

ぱじ 村上たかし
六文銭
六文銭

両親がなくなり、残された幼い娘とおじいちゃんだけで暮らす・・・その生活を想像しただけで、私、秒で泣けます。 なんか読んでて、切ないんですよ。 もう先が長くないとわかっている老人が必死に子育てする姿とか。 幼い子どもが、両親が亡くなってシンドイながらも気丈に振る舞う姿とか。 一生懸命、ご飯食べている姿とか。 全て胸にくる。 作品自体、別に泣かせにきているわけでもないんです。 地域住民など二人に関わる人、全員が優しくて支援してくれて、ほっこりハートフルな世界に包まれているのです。 読んでて優しい気持ちになれます。 だけど、私は、どこか漂う二人の哀愁にページをめくるたびに涙腺が緩みっぱなしなんです。 えもいわれぬ不安感ーきっとこんな生活も長く続かないんだろうという考えが暗い影をおとして、病気とかひどい目にあうわけでもないのに、ただ物悲しいのです。 おじいちゃん子だった、自分の原体験に基づくのでしょうね。 最後も大方の予想通りなのですが、不思議とこれまでの悲しさはなく、充足感を得られるハッピーエンドだと思います。(詳しくは書きませんが…。) 家族を思うこと、優しく生きること、周囲との温かい絆をもつこと、思いやりに満ちた1冊です。