今日、俺は出会い系の男に会う──。結婚を控えた真面目な会社員・詩彦(うたひこ)は、遊び人の同僚から同性限定の出会い系アプリを勧められる。可愛い動物のアバター、牧歌的で箱庭ゲームのようなアプリの世界観に「出会い系」の先入観を覆された詩彦は、そこで自分を理解してくれる「ミャオ君」と仲良くなった。現実でもミャオ君と会うことになった詩彦はその日のうちに彼に抱かれそうになり……? 本名すら知らない男との恋が、婚約者や両親のしがらみを捨てきれない詩彦の人生を確実に変えていく。
高校時代、皆の人気者・天花寺(てんかじ)に密かに憧れていた五映(ごえい)。落ち込んでいる時も優しく接してくれる彼に淡い恋心を抱き始めた矢先、天花寺は級友たちの前で五映を「ゲイだ」とアウティングする。結果、校内で孤立し心に傷を負った五映は誰にも心を開かないまま日々を送り、この先も一人で死んでゆくつもりだった。卒業から20年。ジャーナリストとなった天花寺が五映の前に現れる。「謝罪する」「彼氏にしてくれ」と五映に迫り甘やかしてくれる天花寺の本当の目的は?
理学療法士の真宏は腹違いの弟、優也に20年ぶりに再会する。優也は反社会勢力の頭である父と同じく、裏世界の道を歩んでいた。※本作はARUKUの個人誌作品の電子書籍版となります。【46ページ】
深森は会社を休職して家に引きこもっている。そこに頻繁にやってくる、チャラ男の柏木。ある日、柏木が「俺のサボテンを世話しろ」と言い出した。※本作はARUKUの個人誌作品の電子書籍版となります。【39ページ】
画学生の桃里(とうり)は肺病だったために学徒動員を逃れそのまま終戦を迎えた。退院後、身寄りのない桃里は謎の青年実業家・烏羽(からすば)の庇護のもと古い日本家屋で暮らし始める。床下が意志を持って喋り、蛙たちが庭で相撲をとる不思議な家で、時折訪れる烏羽を待ちながら桃里は彼に惹かれていくのだった。戦争の傷を抱えた桃里と烏羽は一線を越えぬまま心の距離を縮めていくが……? 電子限定おまけ付き!!
ブラック企業に勤める夕日坂見晴(ゆうひざかみはる)はある日、自宅アパートのドア前に小型カメラが仕込まれているのに気づく。心当たりもなく気に留めずにいたが、やがて会社は倒産、見晴は再就職のあてもなく絶望するしかなかった。そして気づいたときには見知らぬ浴室に監禁されていた。狂気じみた愛情を注いでくる監禁犯「マナト君」は過去に見晴と会ったことがあるというが!? 15平米足らずの古びたバスルームで繰り広げられる濃密な愛憎劇
人類の大半が死に絶えた終末後の世界。仕立て屋の羽繕(はづくろ)は学生時代から密かに想いを寄せていた護堂(ごどう)が目の前で息を引き取るのを見ているしかなかった。悪魔のような容貌の男から与えられた「魔法のミシン」で実物と寸分たがわぬ護堂の人型「ゴドー」を縫い上げたところ、それは生き生きと動き出し羽繕に懐いてくる。だがどうやら人間の魂のようなものはないらしい。死人を生き返らせる禁忌を犯した羽繕に、悪魔のような男は、この新しい世界には縫われるべきものが待っている、ゴドーの「たましい」を探す旅に出よと送り出すのだった。針と糸だけで世界を渡る羽繕とゴドーの未来は……?
他人に触れられると身体に激痛が走る奇病のため、温もりを知らぬまま孤独を生きてきた会社員の織部。薬や通院の甲斐もなく、藁にも縋る思いで毒物研究をしている准教授・鰐淵をたずねるが、なぜか鰐淵に触れられると痛みを感じない。初めて他人に触れられた織部は恋に落ちてしまうが?
「君の処女を30万で買ってあげるよ」その一言から狂おしい恋と残酷な復讐劇は幕を開けた――。寂れた地方都市でつましく暮らす作業員の奏。東京から赴任してきたエリート所長の凍月。対照的な二人の男が出会い、脅し脅されるうちに心と身体が深く絡み合ってゆく。2ヵ月後、奏が意識不明の重体で発見されるまで……。ドクズ男と無垢男、本当の愛を知るのはどっち? 電子限定おまけ付き!!
『暗くてダサい図書館司書を騙して、エロい写真が撮れれば200万円』会社員の裏稼業として「別れさせ屋」をしている柏原は、おいしい条件にうっかり乗せられ、ターゲットである朽葉を騙そうと近づくことに。だがあまりにもまっすぐで純真な様子に、しまっていた良心がうずき出す。しかも眼鏡を外した朽葉はおそろしい程の魔性で…!? あっという間に落ちた本気の恋。心を暴こうとどんなに焦っても、軽やかに逃げていく朽葉の正体とは一体…? 電子限定描き下ろしカラー特典も収録。
自分以外の人間の顔がただの点と線にしか見えない雪村。だが、新しく寮の同室となった紫ノ宮の顔はなぜか判別できたことに驚く。学校では怪しげな魔物が蠢き生徒が何人か消えたが教師も同級生も見て見ぬふり。訝しむ雪村に、紫ノ宮は「お前を守る騎士になる」と宣言するのだが!? ストーリーテラーARUKUがお贈りする甘い呪いにも似た長い長い恋の物語。
周囲に馬鹿にされながらもツチノコ探しをやめない同級生とのひと夏の体験「アンダースタンド」 再会した初恋の人が、月が満ちてゆくにつれ人間ではなくなってゆく「フィッシュスケール」 世間から隔離された汚染地を監視する守り人が、孤独の中で得た歪で純粋な恋人「マイガール」ほか、稀代のストーリーテラーが贈る、煌めく7つの作品集。魂に爪跡を残すような濃密な感動をお届けします!
蘇芳は他人に対して恋愛感情も性的欲求も抱けない「無性愛者」。特に不自由も感じず仕事一筋で生きてきたが、学生時代に振ったはずの日夏が部下として着任、蘇芳への愛情をストレートにぶつけてくる日々が始まって……? 連日連夜、部下に迫られる上司に恋の目覚めはあるか!?
6月24日15:43――「俺と君は恋に落ちる運命なんだよ」 人気旅行ライターの雨森は初対面の由比にいきなりそう告げる。暗い少年時代、由比との幸せな予知夢だけが心の支えだったと。だからって雨森の予知能力なんて信じてないし、雨森と恋なんてしない。そう言い聞かせる由比だけど、予知通りにキスをしてしまい……!? 運命の恋、予知夢の謎、由比の過去、雨森だけが知る未来。“悲しい未来が待ち受けてるとしても、ただもう恋に落ちるしかなかった”
中学を卒業して以来、近所の消しゴム工場で働く道雄。彼は吃音のコンプレックスがあり、友人も作れずに孤独な毎日を過ごしている。唯一のあたたかい思い出は、昔、悠馬にいじめっ子から助けてもらったこと。悠馬は良い学校を卒業し、今やタイヨー文具の若き常務となった。工場に現れる悠馬を、道雄は時々遠くから見つめるだけ…。しかし工場ではストが起き、爆発騒ぎにまで発展、その事故によって悠馬は視力を失ってしまう。悠馬のことが心配でいてもたってもいられない道雄は、そっと悠馬に花を届ける。そんな「名無しの君」に悠馬は信頼を寄せ始めるが……。≪電子限定の描き下ろしページも追加収録!≫
明日のパン代すらおぼつかないほど貧しい画家がいた。売れない絵でも描き続けられることが幸福だった。そんな彼がある日出逢った音楽家は、若くして成功し地位も名誉も金も持っていたが恐ろしく孤独だった。透明に輝く画家の魂に触れるうちに頑なな心が解け始めて…。ARUKU渾身の傑作選集。
虹色村でマッシュルーム農家を営むチロリは困っているものを見ると放っておけない優しい性格。今日も他人のために奔走するチロリに、幼馴染みのアキラは憎まれ口を叩きながらも陰でそっと見守っていた。しかし虹色村は大規模開発の危機にさらされていた。自然と共に慎ましく生きるチロリと開発計画に携わるアキラ。ふたりの想いと虹色村の行く末は……!?
「先生、あの小説を書きました?」ある日、偶然手に取った小説「黒猫の庭」。そこには、自分と思しき主人公と男やもめのいかがわしき情交が赤裸々に綴られていた。助教授・英にそのことを訊ねたのをきっかけに、激しい情事が徐々に現実のものとなっていく…! 話題の気鋭が放つ純潔と官能が交差する短編集。単行本描き下ろしあり。
東の最果ての地――。祖国を離れ小さな博物館の入場券係として働く青年と受付口で垣間見えたその美しい「手」に一目惚れした学生。嘘と誤解が積み重なり、実ることなく散るかに思われたその恋は……!?時にユーモラスに、時に痛みを伴いながらも全て幸福な結末に辿りつく心に沁みる作品集。同人誌発表作と描き下ろしも収録。※本作の表紙・奥付の著者名「遙々アルク」は、「ARUKU」の旧ペンネームです。(著者名は現在のペンネームに統一しています)
妻との関係が冷え切っている花岡は、取引先の真壁という青年から熱烈に求愛される。真壁もまた不幸な結婚生活を送っており、かねてから花岡への想いを募らせていたのだ。抗いつつも真壁に惹かれてしまう花岡。蜜のように甘い二人だけの時間と辛い現実の狭間で揺らめきながら彼らが行き着いた先は……?
人里離れた全寮制のカトリック系男子校。家が裕福で大学生の彼女がいるリア充・北条は、クラスつまはじき者・柾が気になってしょうがない。この気持ちが恋だと気づいた北条だが、柾に伝える覚悟もなく悶々としたまま。一方、柾は図書館で、昔この学校の生徒が同級生にあてて書いたと思われるラブレターを見つけて……!?
事故で家族を失った若草秋緒は、遠い親戚の伝手で古道具屋を貰いうけることになった。右も左もわからぬまま商売を始めてみるが、店に持ち込まれるのはいわくありげな物ばかりだし、訪れる客もこの世ならざる者ばかり……。おまけに店には、友人の天宮そっくりの顔をした、自称からかさおばけの男色家・キッカという遊び人が住みついていて、なにかと秋緒にかまってくるのだが――!?