あやかしが見える体質のせいで、様々なトラブルに巻き込まれ、いつしか人とも距離を置くようになってしまった青年、秋夜名月。そんな彼が見つけたのは高野山の片隅にひっそりとたたずむ和菓子屋「春寿堂」での住み込みバイトだった。人との関係が必要最低限ですんで、下界とも隔絶された職場だと喜び勇んで面接に向かった名月を出迎えたのは、狐の王様を自称する辰狐王【玉藻】で──。和菓子とあやかしに囲まれた春寿堂を舞台に、名月を中心に物語は廻りはじめる。
毒素を判別する魚・白紙魚を扱う店・美鬚堂――。14歳の少年・殊文は白紙魚の観察のため、毎日のように美鬚堂に通っている。ある日、赤俥という生物学者が、白紙魚を研究させてほしいと美鬚堂にやって来た。しかし、美鬚堂店主の長十郎は赤俥の申し出をすげなく断ってしまう。赤俥の探究心に同調する殊文は、長十郎の考えに納得できず、思わず赤俥の跡を追うが……!? 少年と不思議な魚が、毒にまつわる謎を解き明かす懐旧談!!
京都府行楽課に配属された七木の初仕事は「古墳の崇り」の調査だった!?上司の新沼とともに、京都のオカルトスポットをまとめた『紫道標帖』を編纂することになった七木は…!?京都を巡る妖しの観光名所ミステリー!