国を支配する恐ろしい大蛇の生贄になるために、虐げられながら育てられた王女・アンジ。18歳の誕生日を迎え、死を覚悟していた彼女の前に現れたのは、大蛇ではなく、見知らぬ青年――アルベールであった。「約束通り、あなたを助けるために馳せ参じました」人生の役割を失い戸惑うアンジに、優しい眼差しを向け、手を差し伸べるアルベール。しかしアンジは青ざめ、彼の手を振り払う。「私に触れてはなりません。なぜなら私は――」国中の人々から死を望まれた哀れな生贄姫と、世界でただ一人、姫に「生きてほしい」と望む青年の、切なく甘い恋物語が動き出す。「あなたに傍にいてほしい。あなたに笑っていてほしい。たとえ、私を忘れてしまっても。――たとえ触れられないとしても」