女神たちと

河井克夫と女神たちの合作漫画

女神たちと 近藤ようこ 安永知澄 やまじえびね 河井克夫 二宮亜子 おくやまゆか 原百合子 横浜聡子
名無し子

河井克夫の原作を女性漫画家が作画する面白い試みの漫画(ひとつだけ逆のパターンもある)。コラボして面白くなってるツボが違うので一番好きな作品とかは特にない。どの作品も面白かったです。 「蛍の僧都のこと」近藤ようこ 近藤ようこさんが描くことを念頭に置かれて作られた原作だそうで、むしろ原作が存在しないんじゃないかってくらい近藤さんらしい漫画だった。 「5人いた」二宮亜子 ヨーロッパのお屋敷で旦那様が殺される事件が起こり、3人のメイドを事情聴取するが…という話。何重にもオチがあって面白かった。 「アムステルダム」安永知澄 一番独創的な作品でした。小学生達が遠足でアムステルダムにやってきてマリファナ入りのパンを食べてしまう話。色んな幻覚を見ます。 「米の回路」原百合子 当時まだ学生だった原百合子先生が描かれた作品。もしかしてこれがデビュー作なのかな?ストーリーうんぬんよりも現在の原先生の絵の上達っぷりに感動した。 「猫又」おくやまゆか 1500年生きて猫又になった小梅と元飼い主のあかねさんの都々逸対決。すごくコミカルで面白かった。 「サンクチュアリ」やまじえびね いつものやまじえびね先生とテイストが違うけど、先生がノリノリで描いたことが伝わってきた。 「片岡一郎の一日」横浜聡子 これだけ女性映画監督が原作を担当して河井克夫先生が作画をしている。起承転結の転になるようなことは何も起こらないのに面白い。片岡一郎の違う一日も読んでみたくなった。

うつ病九段

とても読みやすいうつ病エッセイ漫画

うつ病九段 河井克夫 先崎学
沼袋

明確な原因はわからないけれど、うつというものは気づかないうちにじわじわと近づいてくるものなんだなと、やはり他人事ではないんだなというのを改めて実感した1冊でした。 本書は、将棋界へ復帰できるかどうかというところで、精神科医であるお兄さんに闘病について文章にしてみるよう薦められて終わりますが、ウィキペディアによるとその後にしっかり復帰されたようでホッとしました。 うつと向き合う中で、少しずつ回復傾向であると思っても、その日のうちで調子の良し悪しに波があったり(夜は元気でも朝起きると悪くなっているとか)、文字が読めなかったり、将棋の初歩の初歩すら分からなくなっていたりと今まで当たり前にできていたことが出来なくなるというのはどれだけ辛いことだろうと、読んでいて心配になるんですが、自暴自棄にならず医者からのアドバイスも素直に聞き入れ、将棋への意欲が再び芽生えたことに喜びを感じられたからこそ復帰までたどり着けたんだろうと思います。 やはり受診する病院や医師によって良くも悪くも左右される病気だと聞くので、身内に優秀な精神科医がいたことが幸運だったと思います。しかし兄は精神科医、弟はプロ棋士となんと優秀な家庭だろうと、うつと関係ないところでもなかなか興味深い部分がありました。 最後の方に羽生善治棋士と少し会話するシーンが有るのですが、なんとなくクスッと笑ってしまう微笑ましさがありました。