世界でも数えるほどしか存在しない、独立時計師。自らの名を冠し、ひとつひとつを手作業で作り上げる稀代の時計職人たちである。2013年に日本人初の独立時計師となった菊野昌宏の時計は、もはや芸術品の域に達しており、ついつい時間を忘れるほど見入ってしまう。その知識や技術を独学で身に付けてきた菊野は、ネジや歯車さえも自ら設計し、神を細部に宿らせる。大量生産が可能なこの時代になぜそこまで手作業にこだわるのか、菊野昌宏を紐解いていく。
靴のカタチの探究を続ける、「靴職人」三澤則行。2022年、世界53か国の人々が参加した靴の国際コンクールGLOBAL FOOTWEAR AWARDSで日本人初のBEST OVERALL WINNER(総合優勝)」を果たした。気分の上がる履き心地を目指し「靴の機能美」を追求する世界的ビスポーク職人でありながら、靴のフォルムは保ちつつも履くという機能に捉われない「靴の造形美」を追求するアーティストでもある。そんな矛盾をひとりで抱えながら活動を続ける三澤則行を紐解いていく。