不条理に抗って生きる、すべての者へ捧げるレクイエム。1957年のソ連の実験によって、スプートニク2号に乗せられ、宇宙に放たれた犬・ライカ。彼女は冷たい暗闇の中でその命を失うも、突如現れた神から新しい体を与えられる。人間への復讐に燃える彼女は、種を増やし、文明をつくり、凄まじいほどの軍事力まで手に入れた。数年後、ライカは仲間の犬を引き連れ、母星・地球にむけて出発する。自分を追いやった人類を滅ぼし、再び故郷で暮らすために――。「生と死」、「愛と憎しみ」など、心を抉るテーマに果敢に挑んできた吉田真百合のデビュー作。ポップで親しみやすい絵柄と、心の奥底にある欲望を描いた内容とのバランスが癖になる、唯一無二のピュアでダークネスなコミック!表題作に加え、掲載時反響の大きかった「愛の焦土」など3本の読切も収録した、豪華特厚224P!!
光嶽山の奥深くに暮らすのは、山の動物たちと山犬に育てられた一人の少年・ノジ。ある日、それまで山を統べていた神が死に、次期山神を決める儀式が執り行われた。神に選ばれたのは、人間のノジだった。しかしその決定を不服とする山の動物たちによって、ノジは命を狙われ、故郷である光嶽山を追い出されてしまう。深い傷を負ったノジ。その痛みが悲しみとなり、やがて憎悪となった。そして弟の山犬・イノを連れて、ノジは光嶽山への報復を誓う。ライカ犬の逆襲を描いた『ライカの星』の吉田真百合が次に挑むのは、兄弟の悲しき復讐を題材にした犬漫画。
大人になれなかったおじさんの闇を暴く!(ハルタ86号)