「バベルの大穴」が存在し、人智を超えた「怪物」が闊歩する世界において、味山只人は凡人の探索者の一人だった。……ただ一つ「攻略のヒントを聞く異能」を宿している点を除いて。周りに見下され、野望なく生きてきた味山だったが、彼はいずれ知ることとなる。己の異能は数多の英雄すら凌駕する力を秘めていることに――。
冒険者の荷物持ち《運び屋》として日銭稼ぎをするディーン。いつも通りロクでもない冒険者と魔迷宮に潜り、汚れ仕事をし安い報酬を得て、帰って寝るだけのはず……が、その日は違った。判断ミスで魔物に包囲された冒険者たちは彼を“囮”にして逃亡。取り残されたディーンの選択肢は“死”を受け入れるのみ……。だが、絶望の淵で惨めな運命を一変させる出逢いを果たす! 「のぅディーンよ。妾の力を信じろ」魔迷宮の穴の底で待っていたのは暴食妃・ベルゼビュート すべての力を喰らう能力を持つ最強の悪魔だった――。英雄を夢見た男が暴食妃と新たに紡ぐ冒険譚、開幕!!