数々の古典コミカライズを自己流で手掛けてきた、二階堂正宏先生の山月記。 原作の山月記が好きなので、コレ系の漫画は手に取るようにしてるのですが、把握しているものでは、 ●『柴門ふみ傑作選』 (虎を豚に変えたコメディ。面白いオマージュだけど原作の原型はあまりない) ●『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいのマンガで読む。』 (あっさりと読みやすい。ただ、虎の迫力が足りないなど淡白) ●『草子ブックガイド』 (最上級に良い。けどアーティスト的な自意識が過ぎる部分も) などがあり、いずれも一長一短があるように思います。 しかし本作は、原作を忠実になぞりつつ、李徴が虎になった後の核心部分に独自解釈を加え、物語の業を大きく広げるという離れ業をやってのけており、他作品を上回って素晴らしい完成度であると言えます。 長さはわずか34ページ。価格は660円。商業レーベルの価格帯と比べると、決して安くはありませんが、一読の価値ある作品でした。
数々の古典コミカライズを自己流で手掛けてきた、二階堂正宏先生の山月記。 原作の山月記が好きなので、コレ系の漫画は手に取るようにしてるのですが、把握しているものでは、 ●『柴門ふみ傑作選』 (虎を豚に変えたコメディ。面白いオマージュだけど原作の原型はあまりない) ●『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいのマンガで読む。』 (あっさりと読みやすい。ただ、虎の迫力が足りないなど淡白) ●『草子ブックガイド』 (最上級に良い。けどアーティスト的な自意識が過ぎる部分も) などがあり、いずれも一長一短があるように思います。 しかし本作は、原作を忠実になぞりつつ、李徴が虎になった後の核心部分に独自解釈を加え、物語の業を大きく広げるという離れ業をやってのけており、他作品を上回って素晴らしい完成度であると言えます。 長さはわずか34ページ。価格は660円。商業レーベルの価格帯と比べると、決して安くはありませんが、一読の価値ある作品でした。