姉が結婚し、卓也には年下の義兄ができた。その義兄の双子の兄・孝三郎に恋した卓也。実は卓也には、学費を稼ぐため姉に秘密で体を売っていた過去があった。絶対に知られたくない過去だった。なのに孝三郎の鋭い視線に晒されると、すべてを暴かれてしまいたくなる。知られて嫌悪されるのは、震えるほどに怖いのに──。反する感情を抱えて自嘲する卓也の前に、かつての客が現れて!?
拘束され、男たちの視線に恍惚とする幸彦。ある夜に出会った裕は、誰よりも熱く見つめながらも、ただ白バラを捧げて去っていった。偶然の再会後、フラワーデザイナーである裕に請われた幸彦は、彼のモデルとなった。拘束され花で飾られて、熱烈な視線で炙られる。裕の賛美に、かつてない悦びを覚えた。この昂ぶりのまま裕に抱かれたいと願うが、彼はなぜか幸彦に触れようとせず……。
幼いころのトラウマによって男の愛を利己的なものを考えているキャセル。自分を守るために騎士になった姉を想い、姉が負う怪我を治したいと薬師の道に進んだ。ある日、キャセルは森で傷ついた騎士と遭遇する。その騎士の上司でウィリスと名乗る将校に手伝ってもらいながら傷の手当てをするが、騎士のケガの理由を聞いて憤慨する。愛を示すために銀色熊と戦い、爪を持ち帰るためというのだ。もし死んでしまったら恋人は悲しむのに! やはり男の愛は自分勝手で利己的! そう考えるキャセルにウィリスは違うと説く。愛するが故に深い想いを伝えたいのだと。ウィリスは俺が証明して見せるからしばらく付き合おうと提案する。本当だろうか? 懐疑的なキャセルだったが、ウィリスの与えてくれるキスや愛戯はキャセルに蕩けるような世界を教えてくれて――。
代々ノーキン伯爵家の厩務員として仕えるドレウ家の娘フィオナは、幼いころから当主のアルゴスと親しく接している。だが、亡き母には厳しく身分のことを言われ、部下である立場をわきまえるようにと躾けられた。だから常に心に留めている。と同時に、アルゴスが親しくしてくれるのは、厩務員だから……と自惚れないように言い聞かせている。それなのに、急にアルゴスがキスを! さらにフィオナの気持ちも聞かず求めてくるようになる。慌てたフィオナはアルゴスと距離を取ろうとするが、避ければ避けるほどアルゴスは強引になっていき、とうとう! さらになんと、フィオナとの結婚を賭けて競馬レースの勝敗予測をすると言い出して――いったいどうなるの!?
傷ついた心を抱えながらも、彼から受ける官能の手ほどきに身体は甘く疼き……。高級娼婦を目指すことになった名門貴族令嬢と、彼女の教師役を買って出た美貌の大富豪。真実の愛を探すヒロインの成長を描いたヒストリカルロマンス! スカイ伯爵家の若き女当主であるルエラは、婚約者だったはずの子爵が、別の女性との結婚を発表したことに衝撃を受けパーティーを抜け出した。名門ではあるが財政が厳しいスカイ家のため、ルエラは早急に財政の立て直しができる手腕を持った夫を得る必要があった。しかし恋人の裏切りにより夫を得る道を閉ざされた彼女は、高級娼婦になるしか道はないと悟る。そんな傷ついた彼女の元に、一人の男が現れた。『最高の愛人』と噂され、社交界を虜にしている美しい男は、ルエラを見ると甘い微笑を浮かべ、罪深い提案をした。君が高級娼婦になるのであれば、俺が教師として愛の技を教えよう。と……。
美形なあやかしにいざなわれ……異種間ラブロマンス。同窓会でなつかしそうに声をかけてきた藤枝薫を、松原美紀は少しも覚えていなかった。卒業アルバムにも文集にも、彼の痕跡はなかった。だが「彼を知っている」という感覚に囚われて美紀は自分の記憶を懸命に掘り起し、小学生のころ藤棚で出会った“お兄さん”だと思いだす。そこへ突然姿を現わした“お兄さん”に「藤の精である」と告げられるのだが……。
「そんな、もの欲しそうな顔をされたら、もっと過激なことをしたくなるんだけど」御幸成美は高校卒業後すぐに始めたうどん屋のバイトリーダーとして働いている。就職難で内定が取れなかった、そして飲食関係のフロアの仕事が性に合っているという理由もあるが、憧れのエリアマネージャーの倉持に頼られることを誇らしく思っていた。新しい店長・赤松典史の教育を倉持に任され奮起する。仕事中はまじめで手際もよく好感を持てる典史だが、ふたりきりになると豹変! さわやかイケメンに見えて、じつはとんでもない性格だった!?「倉持さんに色目を使って。男に飢えてんの?」と成美を嘲る典史は、強引に官能を引きずり出し翻弄するくせに、成美を見つめる目はどこか悲しげで……。
「そんな不安そうな顔、せんといてや。もうやめられんて言うたやろ」結婚を考えていた年下彼氏に浮気され、やけ酒を飲んでいた水沢香苗。傷ついた心にうかんだのは、まぁるいまぁるいたこ焼き。精悍な顔立ちにたくましい肉体を持ち、少年みたいな笑顔で接客をしている店主のたこ焼きなら癒やされる! と思い込んだ香苗は、酔ったまま馴染みのたこ焼き屋へと向かう。閉店していることに悲しくなった香苗は、店の前で思わず泣き出してしまう。夜も遅いというのに、やさしい声を香苗にかけてくれたのは、たこ焼き屋の店主・三上良平だった。店内に通された香苗は良平に癒やしを求め、キスをせがむ。唇を貪り合い、彼の欲の象徴を口に含むと最初は拒んでいた彼も本気モードに……。「俺、こんな魅力的な女に会うたんは、はじめてや」いままでにないほど甘く心地よいセックスに身も心も溶かされ、その翌日から良平と付き合うことになっのだが。元彼が「よりを戻そう」としつこく迫ってきて……。
恋愛運の悪さにうんざりとして、「ご利益あり。霊験あらたか」と噂の神社に来てみたら、なぜだか神主さんのお祓いが始まった。え、狐に憑りつかれてるんですか私……。恋愛成就しなかったのも憑りつかれていたからで、しかも狐が「夫だ」と主張しているってどういうこと?……あの……神主さん、お祓いするのに、そのエッチな手つき、必要ですか?憑きもの狐に求婚されて、神主までも誘惑してくる三角関係。淫らに乱れて囚われて――神さま、いったいどうなってるの!?
「俺の呪いを解くために、おまえの蜜を俺に与え、俺のすべてを受け止めろ」骨董市で青年像に強く惹かれて購入した荻原沙穂は、その日の夜、無数の半透明な、粘り気のある“なにか”に襲われていた。縦横無尽に花弁の中を動き回り、花芽に巻きつきこすり、沙穂を快楽の頂点へと昇り詰めさせる。その“なにか”は……白磁の青年像の台座から伸びた触手!?沙穂が感じれば感じるほどに、陶器の白磁を人の肌の色へと変化させていき、そして青年像そのままに美しくたくましい男性が沙穂の目の前に現われた――!?海王神の息子ボニントンと名乗り、呪いをかけられ陶器にされていたと語ると、強引な求愛と傲慢なエッチで沙穂を翻弄する。呪いを解くために沙穂の愛の証を欲しがるボニントンに、体も心も囚われていくが――。恋の始まりは触手から!?